待てが聞けない困ったわんこ【松田陣平】 (ページ8)

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天気予報ではこの時間まで晴れるって言ってたのに！！

めっちゃ雨…最悪

ここからなら家まで走ればすぐ着くけど、この雨の中走りたくはない

仕方がないからバス乗らないけどバス停で雨宿りさせてもらおう

屋根付きのバス停には先客がいた

あらら見覚えある人だ

私の学校の男子の制服を着てて、校則に引っかからないか心配になる襟足の長さとタレ目と言ったら

萩原くん…だっけ？

松田くんと仲良い人だよね

「あれ〜君はじんぺーちゃんちゃんの！」

『…私のこと知ってるんですか？』

「うん！だってじんぺーちゃん、君のこと…」

途中まで言って文字通り口を塞いだ

「松崎ちゃんもここで雨宿り？」

『はい、家はもうすぐそこなんですけどね』

「…なんか、遠い！！距離が！タメ口にして！」

『…じゃあ、タメ口で』

松田くんと仲良いってうわさだけど全然似てないのね

松田くんは初対面の人にこんなに愛想良くないし愛嬌も振りまかない

「ねえ、松崎ちゃん、普段じんぺーちゃんに変なことされてない？」

『うん、特には…ないと思うけど…？』

1年間ちょっかいされ続けてきたし、今更変なことも言われても…

というかはじめましての時に向こうは私のタオルを…嗅いでた訳だし

「じゃあ、松崎ちゃんはじんぺーちゃんのことどう思ってる？」

『…うーん』

彼との関係ってどう言えば正しいのだろう

以前友達に言われたのはペットと飼い主みたいだ…という言葉

『…犬』

「え？」

『松田くんは、犬みたいだなって思ってるよ』

「ああ、そうきたか…」

私の答えは想定外だったらしい

『松田くんはドーベルマンみたいな感じがする』

「…ドーベルマンって護衛犬とか警察犬で有名だよね」

ニヤニヤした顔で萩原くんが聞いてくるけど

ごめん、意図が分からない…

「お、雨やんだ」

『ほんとだ』

「じゃ、松崎ちゃんまた今度ね〜！」

『うん、またね』

私からしたら萩原くんの方が犬っぽく見えるなあ…