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松田くんに手首を掴まれて
強制的に彼の方を向かせられる
「…松崎に言いてえことがあるんだけど」
『うん』
「俺は、松崎のことが好きだ」
『…うん』
ほんとはなんとなく気づいてた
松田くんの気持ちが私に向いてることを
でも気づいたら関係が壊れちゃう感じがしてずっと蓋を閉じていた
「最初は匂いが好きだったけど途中からは松崎の人柄が1番好きだなって思ってる」
「今はもうほんとに松崎の全部が好きなんだ。俺に対してちょっと冷たいとこすら好きなんだ。ずっと松崎のそばにいたいいって思ってるんだ」
「だから、俺と付き合ってくれませんか」
普段の彼からは感じられないほど私への想いを伝えてくれた
よくもまあ恥ずかしい言葉をスラスラと
…結構ドキドキしてることは秘密にしなきゃ
『…敬語似合わないね、松田くん』
この言葉が精一杯の照れ隠しだとは松田くんは気づかないかな
「…悪かったな、敬語が似合わない男で」
けなした訳じゃないんだけれど
こうでもしないと都合がつかない
『私は、敬語が似合わないような松田くんが、好き…だよ』
昔少女漫画で見たことがある恋人繋ぎ
この指の絡め方で合ってるかな
『…だから私でよければ、付き合ってください』
「…ほんとに、いいのか?」
『…松田くんじゃなきゃ嫌だ』
私をこんな気持ちにさせるのは松田くんしかいないよ
松田くんはほっとした顔をしてしゃがんでしまった
当然手は繋いだままだからわたしも一緒にしゃがむ
『松田くん、顔真っ赤じゃん』
「松崎も人のこと言えねえからな」
『うるさい』
赤くなっているらしい顔に手を当てて
たしかに熱いと確認した
絡めていた指がほどけて
名残惜しいと思っていたら松田くんにいきなり抱きしめられた
びっくりしたし、松田くんの顔が見えないけど
きっとふにゃふにゃした顔してるんだろうなと思って
それで満足した
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作者名:ゆづ | 作成日時:2023年5月28日 23時