第59話 ページ10
「善逸っ…!」
今にも暴れてしまいそうな善逸を、童磨の腕の中から必死に呼び止める。
善逸は、炭治郎のことはしっかりと支えているものの、血管は浮き上がり息を荒くしている。
「ふふっ、いいねぇその顔。もっと教えてあげようか。今度はAちゃんの番」
「っ…!」
不気味な笑みを自分に向けられ、私は恐怖と憎悪で体が震え上がった。
「君のお母さんはね、しばらくして仕事を辞めた。なんだか知らないけどさ、たまごサンドが好きだったんだろ?絶対に竈門ベーカリーに行くと思ったんだ」
童磨は間髪入れずに話を続ける。
「実はさぁ、俺炭治郎のお母さんと妹も狙ってたからさ、炭治郎をうまく丸め込むのなんて簡単だったんだよねぇ」
私は勢いよく炭治郎の方を向く。
炭治郎が、此奴に縛られていた…?
そんなに追い詰められてたなんて、知らなかった。
それなのに、私……
「たん、じろ………っ…!」
「ちょっとちょっと、今は俺が話してるんだから俺の方を向いてよね?」
思いっきり首を童磨の方向へ向けさせられる。
私を拘束する力も強くなり苦しい。
「お母さんと妹を殺すって言ったらね、すーぐ教えてくれたよ?案外炭治郎も自分勝手だねぇ」
ふつふつと怒りが沸き上がる。
炭治郎が自分勝手?
あんなに優しくて家族思いの炭治郎が。
「ふふ、段々わかってきたよね?君が俺を拒むとどうなるか。まだまだあるよ、ちゃんと聞いてねぇ?」
「っ…!」
童磨の顔が寸止めのところまで近づき、私の顎に手が添えられた。
「やめてっ!!」
童磨は驚いて一瞬顔を離すも、再びゆっくりと童磨の顔は近づいてくる。
もうだめだ、そう思いきゅっと瞼を閉じた時。
「やめろっ…!!!」
久しぶりに聞く、優しい声が響いた。
童磨は私の顎から手を離し声のする方向を向く。
「…へぇ」
「炭治郎…!?なんで…」
先程までぐったりと動かなかった炭治郎が、善逸の肩を借りて立っていた。
「Aから、手を離せっ…!もう覚悟は出来ている…!」
「…ふぅん。それってあの子たちにも言ったの?」
「カナヲも禰豆子も母さんも、みんな了承済みだっ…!」
予想外な名前に、私は言葉を失いただただ目を見開く。
カナヲ?
なんでカナヲが出てくるの?
それに、禰豆子ちゃんやお母さんもって…
「ねぇ、Aちゃん。やっぱり君もお母さんと同じで愛されてるんだ。いいねぇ。」
どういう意味?
私がそれを聞く間もなく、炭治郎は衝撃の事実を口にした。
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りお(プロフ) - sera:0012さん» 意外性?みたいなのを出せるように頑張ったので、そう言ってもらえて嬉しいです!! (2020年6月8日 22時) (レス) id: 9caa94bd8c (このIDを非表示/違反報告)
sera:0012 - はわわわわ…まさか童磨が出てくるとは…(・д・)スゲェ…… (2020年6月8日 19時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)
葉桜透 - りおさん» 本当ですか!?私もそう言って頂けて嬉しいです。頑張って下さい! (2020年6月6日 23時) (レス) id: 4d7d5a1664 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 葉桜透さん» 葉桜さん…!?わわ、葉桜さんの作品めっちゃ読んでます…!!すごく嬉しいです!!o(*゚∀゚*)o更新頑張ります! (2020年6月6日 23時) (レス) id: e51e299203 (このIDを非表示/違反報告)
葉桜透 - すっごく面白いです!続き、楽しみにしてます(≧∇≦)これからも無理しない程度に頑張ってください、応援してます。 (2020年6月6日 15時) (レス) id: 4d7d5a1664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉桜 | 作成日時:2020年5月24日 20時