第55話 ページ6
「え………」
「善逸っ…!善逸なの…!?」
気持ちよさそうに目を細めていたAが、急に俺の頬に手を当てて涙声で聞いてくる。
「……思い、出したの?」
「うんっ……あのときの、男の子……炭治郎だと思ってた……でも違ったの」
Aは嬉しそうな顔とは対照的に涙をぼろぼろと流す。
「ごめんっ…善逸っ…忘れてて、ごめんっ……」
「………大丈夫、大丈夫だから、」
やっと、思い出してくれた。
俺はまだ入ったままになっているそれを抜いて、Aを思い切り抱きしめる。
「…嬉しい、ありがとうA」
つい先程までの嬌声の代わりに、Aの嗚咽が漏れる。
俺たちはしばらくそのままで泣いていた。
_______
ふと気づくと、Aは俺の腕の中ですやすやと寝息を立てていた。
(…まじかよ)
俺、まだ収まってないんですけど…
だからと言って寝込みを襲うのもなぁ…
1人で悶々と考え、結局Aは寝かせたまま1人で抜くことにする。
ただ、1人でしている間もどこか上の空で気づいたら収まっており、俺は裸のままAの隣で横になっていた。
…こんなに華奢で小さい体の中に、いったいどれ程のものを抱えていたのだろう。
俺はそんな弱ったところに漬け込んで、本当に最低だと思う。
(…でも、もう決めたんだ。)
今日が最後。
Aに全部を告げる。
包み隠さず全てを話す。
俺はずっと昔から君が好きで、媚. 薬を盛ったことも全部。
それで例え君が離れてしまっても構わない。
『……本当はまだりおちゃんのこと、諦めきれてませんよね』
そうだ。俺はまだAのことが好き。
出会った時から一目惚れだった。
『りおちゃんには本当のことを知って幸せになってもらいたいです。』
ほんと、その通りだよ。
俺が1番、Aは自由になって幸せを手に入れて欲しいって思ってる。
だから。
どうか、最後まで聞いて欲しい。
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りお(プロフ) - sera:0012さん» 意外性?みたいなのを出せるように頑張ったので、そう言ってもらえて嬉しいです!! (2020年6月8日 22時) (レス) id: 9caa94bd8c (このIDを非表示/違反報告)
sera:0012 - はわわわわ…まさか童磨が出てくるとは…(・д・)スゲェ…… (2020年6月8日 19時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)
葉桜透 - りおさん» 本当ですか!?私もそう言って頂けて嬉しいです。頑張って下さい! (2020年6月6日 23時) (レス) id: 4d7d5a1664 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 葉桜透さん» 葉桜さん…!?わわ、葉桜さんの作品めっちゃ読んでます…!!すごく嬉しいです!!o(*゚∀゚*)o更新頑張ります! (2020年6月6日 23時) (レス) id: e51e299203 (このIDを非表示/違反報告)
葉桜透 - すっごく面白いです!続き、楽しみにしてます(≧∇≦)これからも無理しない程度に頑張ってください、応援してます。 (2020年6月6日 15時) (レス) id: 4d7d5a1664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉桜 | 作成日時:2020年5月24日 20時