第66話 ページ17
『君の姉さんたちでもいいかなって思ったけどうるさかったからなぁ。残念残念。』
愛する人にそっくりだったから。
『あ、そうだ。もう一個条件がある。………この子を一生大切にすること。いいね?』
自分は愛する人を大切に出来なかったから。
お母さんがたまごサンドを好きだったのは、善逸の施設のお爺さんがたまごサンドを好きだったから。
伊之助が私に『ほわほわする』と言ったのは、私のお母さんが彼の母親に似ていて私もその血をひいているから。
カナヲがあんなに自分を責めて『謝りたい』と言ってきたのは、お姉さんたちを守るため男に加担したから。
全て繋がっていく。
私の知らないところで、何が起きていたのか。
涙が溢れて止まらず、地面を少しずつ湿らせていく。
こんなに近くて、なんにも知らなかった。
彼らは一体どんな風にこの日々を過ごしてきたのだろう。
背中にまわされる優しい手に、私はただただ泣くことしかできなかった。
「……愛って、なんだろうねぇ」
童磨がどこか遠くを見据えてぽつりと呟く。
「引き寄せるのが愛だとずっと思ってたけど……突き放すのも愛なんだよねぇ」
虚ろな瞳が私を捉え、愛おしそうに細められる。
「…私は、あなたを一生許すことはできない」
だけど。
皮肉にもあなたを憎みきることができない。
だってそこには確かな愛があって。
どんな形であろうと変わらないから。
私が愛とはなんなのか深く感じたのは、少しかもしれないけど、あなたのおかげでもあるんだもの。
「……愛のこと、教えてくれてありがとう」
「……Aちゃんが色んな人に愛されている理由がよくわかったよ」
ふっ、と童磨の表情に色がついた気がした。
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りお(プロフ) - sera:0012さん» 意外性?みたいなのを出せるように頑張ったので、そう言ってもらえて嬉しいです!! (2020年6月8日 22時) (レス) id: 9caa94bd8c (このIDを非表示/違反報告)
sera:0012 - はわわわわ…まさか童磨が出てくるとは…(・д・)スゲェ…… (2020年6月8日 19時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)
葉桜透 - りおさん» 本当ですか!?私もそう言って頂けて嬉しいです。頑張って下さい! (2020年6月6日 23時) (レス) id: 4d7d5a1664 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 葉桜透さん» 葉桜さん…!?わわ、葉桜さんの作品めっちゃ読んでます…!!すごく嬉しいです!!o(*゚∀゚*)o更新頑張ります! (2020年6月6日 23時) (レス) id: e51e299203 (このIDを非表示/違反報告)
葉桜透 - すっごく面白いです!続き、楽しみにしてます(≧∇≦)これからも無理しない程度に頑張ってください、応援してます。 (2020年6月6日 15時) (レス) id: 4d7d5a1664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉桜 | 作成日時:2020年5月24日 20時