第64話 ※回想 ページ15
両親は頭が悪かった。
小さい頃から、俺は神が見える子だと称えられ大事に育てられてきたが、実際神は見えるどころか存在すらしないのに。
意味もない宗教の教祖にされた俺は、可哀想な両親の為ににこにこと話を合わせていた。
ある日の事だった。
両親が夫婦喧嘩でお互いを殺めあった。
発端は覚えていない。
両親のことだから、きっとしょうもない理由だったのだろう。
それからというもの、俺は『恋』というものに興味を持ち、それを探すために教祖を続けた。
何人もの女に手を出した。
だけどどの時でも何かを感じることはなく、ただ静かな嫌悪感を抱いて女たちを捨てるだけだった。
そんなときだ。
琴葉が現れたのは。
『教祖様……っ、助けてください…！！』
目立つ外傷はないものの、掠れた声で泣きながら懇願してくる彼女には、妙に心が惹かれた。
俺は琴葉を病院に行かせ、宗教も閉じた。
『ふふっ、教祖様はあやすのが上手ですねぇ』
『もう、そう呼ぶのは辞めておくれよ。それにしても、琴葉に似て美人な子だなぁ。』
琴葉はしばらく病院に入院する事になり、俺は彼女の子供と共に病室で寝泊まりしていた。
ある日の、ことだ。
『……う”っ……』
夜中、急に琴葉が唸りだし、吐血した。
『……琴葉…！？』
子供と眠っていた俺は琴葉の声を聞いて飛び起き、直ぐにナースコールをした。
……だけど、もう。
.
『…………残念ですが………』
.
琴葉は逃げてきた旦那に腹部や頭部を殴られ、既に多くの傷がついていたらしい。
俺の元へ来た時にはもう遅かったのだ。
＿＿＿＿＿＿＿
あのあと、琴葉の子は俺1人では育てられそうにもなく児童養護施設に出した。
生きる希望だった琴葉を亡くし宗教も閉じた俺は、盗みを繰り返してあてもなく生きていた。
そんな日々のことだ。
……似ている。
見た瞬間に、そう思った。
稀に、子供が元気にしているかと施設を訪れていた俺は、そこで働く一人の女性に釘づけになった。
美しい顔立ち。
優しい表情。
若い母親だった琴葉に比べて少し年が上のようにも思えたけれど、それでも琴葉にそっくりだった。
＿＿＿＿＿＿＿
ちょうどその日から琴葉の子供の姿を見かけなくなった。
彼女と入れ替わりだったのかもしれない。
俺はほとんど毎日のように施設に訪れた。
段々と見ているだけでは気が済まなくなり、いつからか俺は彼女にもっと近づきたい、と思ってしまっていた。
.
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りお(プロフ) - sera:0012さん» 意外性？みたいなのを出せるように頑張ったので、そう言ってもらえて嬉しいです！！ (2020年6月8日 22時) (
レス) id: 9caa94bd8c (このIDを非表示/違反報告)
sera:0012 - はわわわわ…まさか童磨が出てくるとは…(・д・)スゲェ…… (2020年6月8日 19時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)
葉桜透 - りおさん» 本当ですか！？私もそう言って頂けて嬉しいです。頑張って下さい！ (2020年6月6日 23時) (レス) id: 4d7d5a1664 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 葉桜透さん» 葉桜さん…！？わわ、葉桜さんの作品めっちゃ読んでます…！！すごく嬉しいです！！o(*ﾟ∀ﾟ*)o更新頑張ります！ (2020年6月6日 23時) (レス) id: e51e299203 (このIDを非表示/違反報告)
葉桜透 - すっごく面白いです！続き、楽しみにしてます(≧∇≦)これからも無理しない程度に頑張ってください、応援してます。 (2020年6月6日 15時) (レス) id: 4d7d5a1664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：莉桜 | 作成日時：2020年5月24日 20時
