しまうまくんのベイビー (ページ9)

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活動休止をしてから、Aは何度も不安定になった。

それでも、たまに見せてくれる可愛らしい笑顔が、俺のその時の辛い状況を和らげてくれてた。

『ねぇ、ジェシーくん。』

「ん？」

『ずっと聞きたかったんだけど。』

一緒にいるのが当たり前になってきた頃、久しぶりに外に出たAは、眩しそうに空を見上げながら俺に声をかけてきた。

『わたしに隠し事してる？』

伝えたいと思いながらもずっと伝えられなかった。

Aがいない間に、突然俺たち6人がバラバラになってしまったこと。

北斗とは会うことがあっても、他の4人に会える時間は前より確実に減って、心のどこかで…もう6人で活動できないんだって、その寂しさを認めたくなかったのもある。

「慎太郎から、最近何か聞いた？」

『何も教えてくれないけど、幼馴染だもん。何となくは気づいてたよ。』

「 …そっか。」

大人の都合というものが嫌いだ。

そういう世界だと分かってても、どれだけそのせいで傷ついた仲間を見てきただろう。

そして今も…自分の無力さに腹が立つ。

「このままいけるのかなって思ってたんだけどさ、やっぱそんな簡単じゃないよな〜って。」

『ありきたりな言葉かもしれないけど。』

小さな手が俺の手の上に重なって、色素の薄い茶色の綺麗な目がじっと見つめてくる。

『 6人なら、大丈夫。運命で繋がってるから。』

「 …運命、か。」

『わたしが大好きな6人だもん。今は苦しいかもしれないけど、きっと大丈夫。』

その言葉は、不思議と説得力があった。

どちらかというとマンズ兄さんたちと仲良く見えたAだけど、活動休止したばかりの頃、慎太郎が言ってた。

森本「 A、俺たち見てるのすげー好きだから、逆に自分が入って壊すの申し訳ないってよく言っててさ。」

俺たちが知らなかった、Aの気持ち。

「ねぇ、A。」

『ん？』

「俺たちがまた6人に戻れる時が来たらさ。」

重なってた手を取り、そっと指を絡める。

この時、Aに対する気持ちを再確認して、心に決めた。

「その時は…俺に、一生Aを守らせて。」

恋人ではない。

だけどお互い少しずつ、恋というものを意識していて

そんな中で伝えた、精一杯の言葉。

小さく頷いてくれたAと、その日初めてキスをした。