しまうまくんのベイビー (ページ8)

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- you side

突然ではなかった。

徐々に、ゆっくりと、身体を蝕まれていく。そんな感じ。

『 …ご馳走様。』

［もう食べないの？］

『うん。寝るね。』

両親が心配するくらいには、ご飯が喉を通らなくなり

食べてもないのに、トイレに行って全てを吐き出したくなって

少しずつ細くなっていく身体。

身体を動かすので精一杯だった。

きっかけは、帰り道に聞こえたファンの子達の言葉だった。

【来栖ちゃんだっけ。あの子、正直いなくていいよね。】

【可愛いのは分かるんだけど、わたしたちが見たいのって男性アイドルじゃん？女の子いると萎えるっていうかさ。】

【同じグループにいたら、それだけで応援するのやめちゃうかも。】

わかりきってたこと。

賛否両論あることも覚悟の上だった。

それでも、その時期にわたしのことをよく思ってない仲間たちからも批判されてるのを知った。

『 …っ、』

その頃ずっとそばにいてくれたSnowManにも、バカレアで忙しそうだった6人にも…他の大好きな仲間たちにも、わたしは何も話せずに、1人で泣いてた。

迷惑だと、そう思ってたから。

森本「なんで、そんな大事なこと話てくんなかったの？」

『 …甘えてるみたいで嫌だった。』

倒れた後、実家に来てくれた慎ちゃんは怒ったような悲しそうな顔でわたしを見つめる。

優しく握られた手は温かくて、それだけで涙が出そうなほど弱ってる自分が情けない。

この状況を知った社長と事務所の判断は、早かった。

' 無期限活動休止 '

病院の診断が深刻なものであり、成長期のわたしの健康を考えてのことだと分かっていても辛くて

このまま戻れないんじゃないかと、また不安になった。

［ A、フルーツだけでも食べない？］

『 …ごめん、ママ。』

その頃、ママはずっと家でわたしに付きっきりだった。

それも申し訳なくて、全てが自分のせいだと夜中に泣くことが当たり前になって

誰にも会いたくなかったのに。

「 A。」

ジェシーにだけは、なぜかすんなり会うことができた。

これが恋のきっかけだと気付いたのは、まだもう少し後だったけど。