しまうまくんのベイビー (ページ7)

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最初の頃は、' 慎太郎の幼馴染 ' ってイメージが強かった。

『慎ちゃん、待って！』

森本「 A、早くしないと怒られるって！」

レッスン前に2人がよく走ってくるのを見かけて、転びそうになるAを「危なっかしいなあ。」って見てただけ。

恋愛感情としてはっきり自覚したのは、あの姿を見た時だった。

『 …ジェシー、くん？』

「入ってもいい？」

『どうぞ。』

倒れた瞬間が、まるでスローモーションみたいで

俺は、みんなより先に気づいてたのに…何もできなかった。

慎太郎に実家を教えてもらって会いに行けば、お母さんが案内してくれた部屋のベッドの上で、ぼーっと外を眺めてたA。

その姿は儚くて、今にも消えてしまうんじゃないかと不安を覚えた。

「体調、どう？」

『 …まあまあかな。』

拒食症なんだと、慎太郎が話してくれた。

紅一点として事務所に入って、大切にされているけれど、その裏で一部の心無い言葉に悩まされていたらしい。

まだたった14歳の女の子が、ここまで追い詰められていた。

『ごめんね。』

「え？」

『わたし、みんなの邪魔してる。』

突然の謝罪。

顔を見ると、困ったように眉を下げて笑うA。

その瞬間、生まれて初めての感情が湧き上がってきた。

' 守りたい '

自然と手を伸ばして、小さな身体を抱き締めれば、今にも壊れてしまいそうでまた不安が大きくなる。

「謝らなくていい。Aは何も悪くない。」

『 …っ、』

「また戻ってこられるように、それまで絶対Aのことも、居場所も全部守るから。」

1人で泣かないで。

俺のそばにいて。

変化に気づいていたのに、君を守れなかったことが悔しい。

この全ての感情の答えが、' 恋 ' なんだと自覚した。

「だから、また明日も会いにきていい？」

『 …きてくれるの？』

「俺が会いたいの。一緒にさ、少しずつ前に進もうよ。」

無理に頑張らなくていい。

十分に頑張ったから、頑張りすぎたんだから、その荷物を俺に少し預けて。

その意味も込めて、もう一度強く抱き締めた。

『 …っ、ありがと。』

小さく震える身体が、愛おしくてたまらなくて。

その日から俺とAは、2人だけの時間を大切にするようになった。

この日が、俺たちの全ての ' 始まり ' 。