しまうまくんのベイビー (ページ23)

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- shintaro side

初恋は、Aだった。

それに気づいたのは、中学のとき。

『あのね、今日ね。』

深澤「くる、ゆっくり喋っても俺たち逃げないから。」

岩本「 A、これ食う？」

『だって、辰哉くんたち最近会えないんだもん。え、食べる！』

少し上のお兄ちゃんたちに可愛がられてる幼馴染を見た時に、自分のモヤモヤしてる心に気づいた。

だけど、言わなかった。

それは俺の中で、「幼馴染なら何があっても一緒にいられる。」って気持ちがあったから。

『慎ちゃんがいたから、わたしは今幸せなんだよ。』

『この世界に一緒にいてくれてありがとう。』

俺の方こそ、お前のおかげだった。

全部、俺のセリフ。

Aの笑顔を見るたび、ジェシーと付き合ってからも苦しくなってた。

今では、そんなことないけど。

俺には、俺にしかできないことがあるんだって。

ジェシーに負けない部分もあるんだって、わかったから。

「 Aは、誰よりも慎太郎を信頼してる。」

森本「そんなん、今は全員じゃない？」

「信頼って言葉の重みが、俺らとは違うんだよね。」

結成して少しした頃の、ジェシーの言葉。

今なら、わかる。

『ねぇ。』

森本「んー？」

『そのままの慎ちゃんでいてね。』

昔から俺のことをよく分かってくれてたけど、SixTONESとして一緒にいるようになってから、尚更勘が良くなったA。

今にも泣きそうなくらい落ち込んでた俺の頭に触れた手は、小さいのに全てを包み込んでくれるみたいで。

森本「 …Aのくせに。」

『何とでも言いなさ〜い。』

ふにゃりと笑う笑顔に何度も助けられてきた。

俺は、あの時助けられなかったのに。

『慎ちゃんはずっと、ヒーローだから。』

森本「ジェシーじゃなくて？」

『王子様は愛があるから助けてくれるけど、ヒーローは無条件に助けてくれるでしょ？』

森本「何でも屋かよ(笑) 」

今でも思い出す。

罪悪感に押しつぶされそうだった俺にかけてくれた言葉。

森本「 …ヒーローね。」

お前が望むなら、いつだって駆けつけるし、何度だって助ける。

出会った時に握った小さな手が、自然と俺をそうさせてたんだと、今なら思う。

初恋は実らない。

だけど、これからも俺たちは幼馴染でいられるから。

俺の役目は、' 最高に可愛い幼馴染のヒーロー ' ってことでいいよ。