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- taiga side
何も言わなくても伝わるって、信頼の証だと思う。
『 きょうちゃん。 』
京本「 どの曲にしよっか。 」
『 …おまかせする。 』
俺とAは、メンバーの中ではあんまり絡みがないと思われてるけど、入所した時から結構可愛がってる。
俺のことを ' 大我お兄ちゃん ' として慕ってくれた可愛い女の子だったから。
今では、綺麗な女性だけど。
Aは俺を普段、『 大我くん。 』と呼ぶ。
だけど『 きょうちゃん。 』と呼ぶ時があって、その時は彼女が弱っている時。
昔の呼び名で呼ばれたら、俺は真っ先にギターを手に取る。
軽く音を鳴らして、Aが好きなアーティストの曲の中からひとつ選んでみれば、柔らかくて女性らしい、Aにしか出せない繊細な声が響く。
京本「 落ち着いた？ 」
『 …ん、ありがとう。 』
京本「 くるは、頑張ってるよ。それは俺たちが誰よりも知ってる。 」
今にも溢れ落ちそうな涙が、俺の肩に頭を乗せた途端に頬をすーっと流れる。
よくメンバー内で、インタビューでも話すんだけど
Aは生きてるだけで、ひとつひとつがドラマのワンシーンになる。
そんな、不思議な魅力がある。
『 っ…、自信なくなっちゃった、 』
京本「 理由話せる？ 」
優しく頭を撫でれば、形の綺麗な唇がゆっくり開いて、共演者の女性の心ない言葉の中で「 俺たちのお荷物 」だと表現されたらしい。
そんな汚い言葉、聞かせたくない。
Aには、綺麗な言葉だけを聞かせたい。
それが、俺たちの願いではあるんだけど、現実問題難しい。
『 みんなの…っ、お荷物…、？ 』
京本「 寧ろAがいるから俺たち幸せでたまんないのに、お荷物なわけないじゃん。俺の言葉の方が信じられるでしょ？ 」
落ち着かせるために抱きしめれば、何度も頷く。
頭ではわかっていても、人一倍繊細で傷つきやすい。
そんな俺たちの可愛いお姫様。
してあげられることは全部してあげるけど、俺の主な役目は苦しさを歌で一緒に発散すること。
ジェシーだってできることだけど、ジェシーにはもっと特別な役目があるから。
京本「 大好きだよ、くる。 」
『 …きょうちゃん、わたしも大好き。 』
君がそう呼ぶたび、俺はあの日を思い出して幸せになるんだ。
小さい女の子が、何の忖度もなく、俺に笑いかけてくれた日を。
助けられてるのは、俺の方かもしれないね。
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作者名：moi | 作成日時：2024年3月19日 21時
