しまうまくんのベイビー (ページ21)

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- juri side

2人が喧嘩した時に、Aを宥めるのは俺の役目。

そして、もうひとつ俺には役目がある。

『あの…すみません。メンバーが待ってるので。』

［え〜いいじゃん。今度ご飯行こうよ。連絡先教えて？］

『 …本当に、困ります。』

ジェシーがそばにいる時は、あいつの持ち前のコミュ力で上手くかわしてんだけど、Aは全くそれができない。

今も、泣きそうな顔で違う事務所の男に絡まれてる。

こういうときは、俺の出番。

田中「くる。」

『 …っ、樹くん！』

田中「マネージャー探してるよ。おいで。」

俺を見つけるなり、安心したように頬を緩ませるAに手を伸ばせば、手を掴んで、そのまま俺の後ろに隠れる。

田中「こいつに用あるなら、俺たち通してもらえます？1人で他の事務所の男と会うの、事務所NGなんで。」

あくまでも冷静に、だけど無言の圧をかければ、相手はバツの悪そうな顔をして逃げていった。

本当、すぐ諦めるくらいなら近寄んなよ。

心の中で悪態吐きつつ振り向けば、可愛い笑顔で俺を見上げてくる。

『ありがと、樹くん。』

田中「 1人で出歩くなって言われてんだろ。」

『これ買いに行ってたの。』

手に持ってた袋の中には、のど飴。

そういえばさっき、北斗が喉痛いって言ってたな。

田中「ほんと、お前はいい子だよな〜。」

『わっ…ちょっと！子ども扱いしないでよ！』

肩に腕回して頭を撫でてやれば、嫌がる素振りを見せながらも、楽しそうに笑ってる。

昔からこういうさりげない優しさに、俺たちは助けられてきた。

松村「俺に？」

『はちみつのと、こっちもあるよ。』

松村「貴方…天使なの？」

流石の凄さに北斗も目をまんまるにしてるし、一緒に楽屋にいた高地もついでにもらってる。

俺の手にもひとつ渡されて、それを口に入れれば、ちょうどのタイミングで残りの3人がやってきた。

森本「お、のど飴？俺にもちょーだい。」

京本「俺ちょうど忘れたからもらう。くる、ありがとね。」

みんなを見て、嬉しそうに笑ってるAを後ろから抱き締めたのはジェシーで、見つめあって何か話してる。

「 1人で行ったら危ないじゃん。」

『樹くんが助けてくれたから大丈夫。』

ジェシーの過保護も見慣れた風景。

田中「幸せって、こいつらのことなんだよなあ。」

しみじみ、そう思う。