しまうまくんのベイビー (ページ19)

今日:173 hit、昨日:786 hit、合計:169,649 hit

▶︎ それぞれの役目ページ19

- yugo side

ジェシーとAの交際は、一応 ' ヒミツ ' になってる。

そりゃあの距離感だし、なんならファンは2人を応援してる人が大半だけど、正式に交際宣言は事務所NG。

理由は、Aを守るため。

どんなに肯定的な意見が多くても、現実的には ' リア恋 ' という枠があるわけで

ジェシーにも、そういう類のファンはいる。

それに、ジュニア時代にあったある事件も、理由の中にはあるんだと俺たちは理解してる。

『優吾くん、これ開けて〜。』

高地「ペットボトルいまだに開けれないのね。」

『さっき慎ちゃんに閉めてもらったら開かなくなった。』

拗ねたように俺のところにペットボトルを持ってきたAから受け取れば、確かに馬鹿力かよって突っ込みたいくらいには硬い。

高地「溢すなよ。」

『ありがとう。』

基本常温しか飲まないのに、今日は珍しく冷たい水を持ってるAが隣に腰掛ければ、ジェシーと同じ香り。

また昨日も会ってたんだなと思いつつ、ちらりと視線をやれば、首元に赤いものが見えた。

高地「 …お前さあ。」

『ん？何？』

高地「ジェシーと昨日なんかあった？」

『昨日、ちょっと不機嫌だったかなあ。』

嫉妬して勢いでやるなって注意してんのに、たまにこうして自制効かなくなるんだよなあ。

そしてうちの赤ちゃんは気付いてないし、本当に手が焼ける。

メイクさんとかつく日だったら危ないってのに。

高地「コンシーラー、持ってる？」

『持ってる！使うの？』

高地「貸して。」

鞄からポーチを出して、その中から出てきたコンシーラーはこの前北斗が買わされてたやつ。

ちょっとお高めの。

高地「髪の毛、ちゃんと上げてて。」

『うん？』

首の付け根付近に２つ付いてる印の上から、少しずつコンシーラーを馴染ませれば、意味に気づいたのか気まずそうな顔をしてるA。

高地「ジェシーに言っとく。」

『 …ごめんなさい。』

高地「別にお前が謝ることじゃないけど、気をつけないと。一応ヒミツなんだから。」

『はあい…。』

しゅん、としてる頭をそっと撫でてやれば、子猫みたいに目を細める。

とりあえず、ジェシーにはお怒りLINEを送っておいた。

こういうとき注意するのは、俺の役目だから。