ゼブラくんの恋人

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「あの日… お前の誕生日になった時、お祝いメールが山ほど来ただろ。デビューしてからお互い知り合いが増えたから、それは全然いいんだけど… お前、ずっと携帯いじってるし。

お前の背中見てたら、なんか急に遠くにいるように感じて… いつまで一緒にいられるのかって不安になっちゃってさ。『いっそハリネズミにでもなれば、ずっと側にいられるかも』って、ヤケクソで考えたんだ。あの時、けっこう酔ってたし。

馬鹿だよな… 変なこと考えたから、バチがあたったんだと思う…」



俯いたままの高地は、時折言葉を探すように息をつきながら言った。



あの時、一人でそんなこと考えてたんだ…



俺は高地の手をぎゅっと両手で握り込んだ。視界がにじんで、高地の顔を直視できない。



「こーち、ごめん…！俺、こーちに甘えてて、気づかなかった… バチがあたるなら、俺のほうだよ！俺がお前にふさわしい、いい恋人じゃなかったから…っ、こーちの大切さに気づくようにって、神様がさ、俺にさ…！」

「いや、そんなことないよ。俺こそ、迷惑かけて、ほんとごめんな」


涙目で必死で言い募る俺に、逆に高地が慰めるように穏やかに言った。




もう、高地って、なんでこんなに優しいんだろう。


神様。
もう彼をハリネズミにしないで下さい。
俺、ちゃんと大切にしますから！！



俺は心の中でそう固く誓った。




「俺があんなんなってる間、お前が色々世話してくれて助かったよ。ありがとな、ジェシー」

「当然でしょ！それにハリネズミのこーち、可愛かったよ」

「あっちに戻った方がいい？」

「やだっ！！」


いたずらっぽく聞いた高地に慌てて言い返すと、ヒャハハと弾けるように笑う。俺の大好きな笑顔だ。



「あー、やっぱり人間のこーちがいいな〜。ハグできるし。もちろん、それ以上のこともね！」

「なに言ってんの？まあ、流石にハリネズミじゃ無理だもんな」


苦笑する高地に、俺は胸を張って答える。


「いや、俺がんばるよ。針をなんとかうまく利用してさぁ」

「おま…！バッッカじゃねーの？！」



高地の小さな顔が、一瞬で湯気が出そうなほど赤くなる。瞬間湯沸かし器みたい。


「もちろん、冗談だよ！あ、でも、半分本気かも。俺、こーちだったら何でもいける自信あるよ。ずっと二人で一緒にいられるなら、なんでもする」



高地の左手を取り、薬指にそっと口付ける。


「あの時、『絶対ハナレナイ』って誓ったじゃん」



高地はますます真っ赤になった。

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