ポアロで会いましょう【安室透】 (ページ21)

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すれ違い6 ページ21

あれから何も変わらない日が過ぎていった。

唯一変わったのは、私がポアロに行かなくなったこと。

でも、私1人行かなくたって気にも止められないだろうな。

…この際、もう安室さんのことは忘れよう。

好きになっても進展するはずのない恋。
29歳でイケメンでケーキ作りも上手で。
探偵してて頭も良くて。

万が一付き合えても、モテすぎて嫉妬しちゃうだろうし、私なんてすぐ捨てられちゃうに違いない。

今まできっと、いろんな美人に出会ってきたんだろうな。

私は忘れようとしたけれど…

安室さんの笑顔、笑った時の声、私にも敬語で話してくれる紳士的なところ、全部全部良いところばかりで、

忘れようと思えば思うほど、忘れられなかった。
想いが溢れてばかりだった。

その日は食事が喉を通らなかった。

安室side

モヤモヤしたまま自宅に帰る。

ハロに餌をやって夕飯の準備をしていた頃。

スマホが鳴っているのに気づいた。

「はい、もしもし」

「Hi、バーボン。明日丸丹デパートに潜入よ。私は潜入先の女性に変装するから時間通りにね。don't be late(遅れないように)」

「わかりました、ベルモット」