失敗から学ぶ話／カービィ：�� ページ10
「…………はっ」
目を覚ますと、カービィが心配そうに覗き込んでいたのが見えた。
心なしか先ほどまで期待の輝きに満ちていた目が潤んでいるように見える。
「わ、私どうしたの？ あのカレーは……？」
「……カレーを食べたら、倒れちゃったんだ。ごめん……おいしくなかったよね」
「そんなこと……」
「ぼくも一口食べてみたんだ」
その声から悔しさとか悲しさとか、そういった感情が滲み出ていることに言葉が詰まった。
「おいしいもの同士を合わせてみたら、きっともっとおいしくなるって思ったんだ」
食べ物が何より好きだから悔しいんだろう。
おいしい料理が好きだから悲しいんだろう。
体を起こし小さく笑みをこぼして、カービィの手を握った。
「あのね、私、カービィの料理が好きになれたよ」
「え？」
信じられない、と言ったように顔が変わる。
一口食べたら倒れちゃったから信用できないのだろう。
ひとつひとつの言葉をゆっくり運んだ。
「そりゃ、味はかなり……個性的で、あの味に慣れるのは凄く長い時間が必要だろうね。でも、カービィが私に作ってくれた料理だから……おいしい料理を作ろうとしてくれたから、カービィの料理が好きになったんだよ。一番好きなんだよ」
私の言葉を受け取ったカービィは何かをずっと考えて……やがて、くっと顔をあげた。
その表情は晴れやかで、先ほどまでの憂いの表情は無くなっている。
「ありがと！」
「ううん、どういたしまして」
いつもの元気なカービィに戻ってくれたみたい。
よかった、と安堵の息をついた。
「でも今日はどうしたの？ 料理作ってくれたり、好きな食べ物聞いてきたり……」
「んっとね、起きたときにAのこと考えてたんだ。どんな料理が好きなのかな、とか、ぼくの料理好きになってくれるかな、とか、どんな顔で食べるのかな、とか……いろいろ考えてたらいてもたってもいられなくなっちゃった」
自分のことを考えられていた、というのが気恥ずかしく感じる。
……ん？ 起きてそのまま来たというのなら、カービィもお昼近くに起きたのではなかろうか。
「そしたらぼくの料理が一番好きって言ってくれて……すっごく嬉しいんだ！」
「そ、そんなに喜ぶことなの？」
「うん！」
尋ねると、カービィはくるん、と大きく跳ねて私の方をまっすぐと見つめると、
「ぼくね、どんなことでもAの一番になれたってことが幸せなんだよ！」
にぱっと今日一番の笑顔を咲かせた。
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東方&カービィラブ - 初めまして。全て読ませていただきましたが、どのお話もとても素敵でした！更新頑張ってください！これからも応援させていただきます！ (2018年8月28日 17時) (
レス) id: 17342e30fb (このIDを非表示/違反報告)
豆打(プロフ) - おとうふさん» ありがとうございます！これからも思いついたままに書いていくので、どうかお付き合いください。 (2018年8月5日 22時) (レス) id: b19a68a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
おとうふ - コメント失礼します！この小説を一通り読みました。それぞれのキャラクターを原作通りに表現できていて読んでてとても面白かったです！これからの更新楽しみにしてます！！ (2018年8月5日 19時) (レス) id: 656bcd2590 (このIDを非表示/違反報告)
豆打(プロフ) - さうざん(菜っ葉)さん» ありがとうございます！大分自分の解釈や妄想も入っていますが、そう感じていただけていると安心しました。 (2018年7月30日 21時) (レス) id: b19a68a9b2 (このIDを非表示/違反報告)
さうざん(菜っ葉)(プロフ) - いきなりのコメント失礼します。作者様のお話を全て読ませていただきました。どれも原作通りのキャラクターで、文章がとても細かく表現されていて、読みやすかったです。これからも更新頑張ってください！長文失礼しました。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 883b22f60a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆打 | 作成日時：2018年7月9日 23時
