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「びっくりした…。ちょっとちゃんと確かめてから開けなよ」
「いや、だって…。蓮だったし…」
「エントランスでは俺だったけど、ドアの前じゃ俺じゃない可能性もあるでしょ。お隣さんとか」
「ああ…確かに」
「気をつけてね。心配」
「うん…わかった」

何か怒られた。
でも別に嫌じゃない。

「ってかどうしたの?急に」

そう言いながら部屋に案内する。
蓮が家に来るの久しぶりな気がする。
いつぶりだ?
蓮の誕生日振りかも。
緊張してきた…。

「ごめんね、急に」
「ううん、大丈夫だよ。びっくりしたけど」
「うん。いや、康二がなんか…」
「康二さん?がどうしたの?」
「『Aちゃん調子悪いみたいやな、大丈夫?』って連絡きて」
「…ああ」
「頭痛かったの?」
「うん…ちょっとね」
「めちゃくちゃしんどそうだったって聞いたけど」

…康二さん。どこまで話したんだ。
高橋さんからどこまで聞いたんだ。

「あー、うん。定時の少し前くらいに頭がズキズキし始めてね」
「うん」
「頭痛薬持ち合わせてなくて…、それで定時に上がらせてもらったの」
「そっか…」
「うん…その後薬飲んで少しよくなったから、言わなくても大丈夫かなって思って」
「うん…でも言って欲しかった」
「…ごめん、心配かけたくなくて」
「心配させてよ。でも気づかなくてごめん」

悲しそうに言うからなんか私も悲しくなってきた。
でも確かに私も蓮が体調悪いのに言ってくれなかったら
寂しいかも。

「ううん。言わなかったの私だし…ごめんね。ありがとう」
「…今は?大丈夫?」
「うん!まだちょっとだけしんどいけど、蓮が来てくれたから良くなってきた!」
「あは…なにそれ」
「ホントだよ!」
「…可愛いこと言うねえ、また」
「蓮のお陰だー」
「熱はないの?」
「うん!熱はなかったよー」
「そっか、良かったー」

そう言って優しくぎゅっと包み込んでくれた。
あー、安心する。
ほんとに心がホッとして。心地よくて。
なんだろう。身体が弱まってるからかな、
甘えたい気持ちになってきた。
でもグッと堪える。

「…なんか食べた?」
「何も食べてない…」
「食欲ない?」
「なくはない!」
「あは、どっちなの」

蓮が笑った。
まだぎゅーってしてくれてるから顔は見えないけど
多分クシャッと笑ってる。はず。

「ちょっとゼリーとか買ってきたけど食べれそう?」
「え!ほんとに!?」

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作者名:おでん | 作成日時:2022年6月11日 0時

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