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知ってる人じゃない ページ9

一瞬、私の心の中が読まれたかと思った。

…そう、こんな感じで秘密基地にある横並びのパイプ椅子に2人で並んで。

「…懐かしい」

私が呟くと渡辺くんが私の目を真っ直ぐに見た気がする。

「だね」

渡辺くんは、それだけ言った。
すごく視線を感じる。

「そういえば、この前の情報番組のやつさ」
「…うん」
「舘さんから聞いた」
「聞いちゃいましたか」
「うん」
「まさかゲストでいらっしゃるとは」
「俺もまさか柿崎さん出ると思わなかった、不意打ち」

2人でふふ、と軽く笑う。

「…あのエピソードって俺?って事だよね?」
「うん」
「そうだったんだ」
「そうだと思ったから、応援してます!って言ってくれたんじゃないの?」
「…そうなんだけど、自信あまりなかった」
「…渡辺くんのことだよ」
「そっか」
「改めてありがとね。あの時も、前のメッセージも」
「いや、こちらこそありがとう」

視線に耐えきれず渡辺くんの方を向く。
目がバチっと合う。
…ああ、懐かしい。
10年振りにちゃんと会話するのに、
久しぶりじゃない気もして。
でも、あの時とは違う。
大人になってよりかっこよくなってる。

耐えきれず、思わず目線を逸らす。
渡辺くんよくずっと見られるな。

「…なんか俺いま複雑な気持ち」

沈黙を破ったのは渡辺くん。
それさっきも言ってたよね。

「…ん?ドラマの事?」
「うん、でも違くて」
「ん?ネタバレ見ちゃったー!って事じゃなくて?」
「ネタバレ禁止なのはそうなんだけど!違う!」

何が言いたいのか分からなくて渡辺くんを見る。
何か迷ってる感じがする。

「…何が複雑な気持ちなの?」
「この前も偶然会ったじゃん、俺ら」

急に前の話をしてきてびっくりしたけど、平常心で聞く。

「ああ、うん。メイクルームだよね」
「うん、そう。あの時は全然話せなくて」
「あー、確かに。私の出番が来ちゃったんだよね」
「うん。また会えるだろーと思ってたのに舘さんと康二が先に会っちゃうし」
「あはは」
「舘さんと何やら2人で話したらしいし」
「まあ、それは」
「涼太から話しかけに行ったんでしょ、知ってるよ」
「…うん」

…余計に何を話したいのか分からなくなって来た。
これは私の理解力が足りないのか。

「…それで、次はいつ会えるのかなー思ってたら今日会えた」
「うん…」
「でも思ってた再会と違った」
「…」
「知ってる柿崎さんじゃないみたいな…」
「え?」
「俺らもう高校生じゃないんだもんね」

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おでん(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただき嬉しいです!ありがとうございます! (2021年3月4日 7時) (レス) id: 0eda0cdbe1 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - おでんはんはじめまして!このお話本当に大好きです!今までにないテイストで今後も更新楽しみにしてます(^^) (2021年3月2日 20時) (レス) id: 7b49f138be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おでん | 作成日時:2021年2月20日 21時

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