友達を利用して ページ24
無言のままマンションの裏口に着く。
渡辺くんは降りようか迷ってたけど、
お金を払って、一緒にタクシーを降りた。
「ごめん、迷ったけどやっぱ部屋まで送っていい？」
「…え」
「あ、いや別に変な意味はないよ！アイツが追っかけてきてるかもしれないし。康二たちがいるから大丈夫だと思うけど。でもちゃんと家に帰れた事確認させて？」
「…うん、ありがとう」
エレベーターに乗る。
静寂な時間が鼓動のリズムを教えてくれる。
いつもは早く着け〜！と思うこの時間も
あっという間に自分の階に着き、部屋の前に。
鍵を開けるのも手が震える！
じっと見られてる！渡辺くんが見てる！
ドアが空いて入ろうとしたら渡辺くんが、
じゃあ…と言って帰ろうとする。
「え、なんで！」
「だって、これ以上はまずいでしょ」
「でも…」
「早く家に入って」
渡辺くんが表情を変えずに言う。
マスク付けてるから余計にわからない。
え、このまま帰す？助けてくれたのに？
でもやっぱり家にまで入れるのは違うのかな。
「…渡辺くん、少し休んでいかない？」
「え！？」
考えてたら思わず言ってしまった。
「助けてもらったし…」
「でも…」
「それに私たち友達だし…」
「……確かにその言葉ずるいね」
ハハっと乾いた笑いをした渡辺くんが、
お邪魔しまーすと家に入ってきた。
ちょっと待って、家に！渡辺くんがいる…。
いや、誘ったのは私だけど！
…ん？誘った？って事になるのかな。
すぐ家に入れちゃうとか軽いヤツと思われたらどうしよう！
そんな事ないのに！渡辺くんだから入れたのに！
リビングに着く。
渡辺くんがキョロキョロし始めた。
落ち着きがなくて可愛い。ふふふと笑ってしまう。
「な、なに？」
「…そんなにオロオロしなくても大丈夫だよ」
「いや、するでしょ！綺麗で広くてめちゃくちゃビビってる」
「あはは」
ソファに腰掛けてマスクと帽子を外した渡辺くんを見て、ホッとする。
渡辺くんだ…。
いや、当たり前なんだけど。
いつもの姿になんだか泣きそう。
キッチンに行ってお茶を出してソファに腰掛ける。
渡辺くんはありがとう、と一口飲んだ。
「…なんか変な感じ」
「…ん？」
「柿崎さんの家にいるとか、なんか変」
「…私も家に渡辺くんがいるの不思議」
今更だけど、緊張がこみ上げてきた。
いつもの楽屋とは違う。完全にプライベートだし。
誰も見てない、誰も聞いてないこの状況。
危険すぎる。
心臓よ、耐えろ！
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おでん(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただき嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年3月4日 7時) (
レス) id: 0eda0cdbe1 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - おでんはんはじめまして！このお話本当に大好きです！今までにないテイストで今後も更新楽しみにしてます(^^) (2021年3月2日 20時) (レス) id: 7b49f138be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おでん | 作成日時：2021年2月20日 21時
