行かないで ページ26
とりあえず説明した。
まだ混乱しててすごく内容はグチャグチャだったけど。
今から来てくれるらしい。
他の方のロケに同行してたからあと30分はかかるとのこと。
マネージャーが泣きそうな声で電話に出られなくてごめんね！いますぐ家に行けなくてごめんね！と
言ってくれた。
それに泣きそうになる。
「マネージャーなんて？」
「うん…今すぐ来てくれるって」
「お、良かった…」
「ありがとう」
「ん」
渡辺くんがいてくれて良かった。
本当にあの時3人がいなかったら…
自分1人でなんとか助かったとしても
家に帰るまで気が抜けないし、家についても
誰かいるんじゃないか、ビクビクしてたかも。
少しして、渡辺くんが急に立ち上がる。
「…じゃあ、俺帰るね」
「え！！」
急に言われたから驚いたのと、
寂しさと怖さで思わず渡辺くんの腕を取る。
「え、柿崎さん？」
私が急に腕を取ったから今度は渡辺くんが驚いてる。
「帰っちゃうの…？」
「え…いや、あの…マネージャーさん来るでしょ？」
「…うん」
「俺いたらやばくない？なんで？ってなるよ」
「…そうだけど」
「だから、鉢合わせする前に帰るよ」
「…待って」
ダメだ、私。渡辺くんが言っていること分かるし、
私も逆の立場だったらそう言ってる。
けど恐怖心が抜けなくておかしなこと言っちゃってる。
渡辺くん困ってるよ。
「…柿崎さん？」
「行かないで」
「…え？」
「まだいて」
「ちょっ、何言ってんの」
「マネージャー来るまでここにいて」
渡辺くんが言葉を詰まらせた顔をしてハッとなる。
何言っちゃってんの！
完全に困らせてる。
やばい。怖くてそばにいて欲しくて。
つい出てしまった本音に戸惑う。
「なーんてね！ごめんごめん！大丈夫だから！」
「え？」
パッと腕を離す。
「今日はありがとね。本当に助かった」
「…」
「また今度ちゃんとお礼させて！あ、向井さんと深澤さんにも！」
「ああ、それは…」
「ごめんね！引き止めて！忘れて！帰って大丈夫だから！」
ほらほら〜！と渡辺くんの背中を押して
玄関まで連れて行く。
「…じゃあ」
玄関前で立ち止まってる渡辺くんに別れを言おうとした瞬間、泣きそうになる。
なんで！帰るだけだよ。
大丈夫だよ！助けてくれたんだから！
これ以上は迷惑がかかるし、望んじゃダメだよ！
マネージャーが来るまであと15分くらい？
たった15分よ？大丈夫。
恐怖と寂しさで泣きそう。
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おでん(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。そう言っていただき嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年3月4日 7時) (
レス) id: 0eda0cdbe1 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - おでんはんはじめまして！このお話本当に大好きです！今までにないテイストで今後も更新楽しみにしてます(^^) (2021年3月2日 20時) (レス) id: 7b49f138be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おでん | 作成日時：2021年2月20日 21時
