【HQ】ポジション:マネージャー

ep.07 海に成って強く優しく ページ8

(清水side)






４月にやった新入生勧誘でマネージャーになりたい子はひとりもいなかった



私は目立つのが得意な方じゃないし、

声を掛けるのも話すのもどちらかというと苦手







今は大丈夫だけど、



もし私が３年生になったら？

私の後にマネージャーが続かなかったら？








全国を目指して頑張ってる澤村や菅原、東峰

じゃあ私は…？








私より前は居なかったんだから、って

でも、全国目指してるみんなのために出来ることはやってあげたい









縁下 ｢潔子さん！｣









彼も新しくバレー部に入った１年生

１年生の子たちには、もしマネージャーに興味がありそうな子がいたら教えて欲しいと伝えておいていた



私が澤村から声掛けられたように、

同じ学年の子の方が色々分かりやすいから








縁下 ｢あの、同じクラスの子にバレーボールやってた子がいて、女バレにも入ってないみたいなんで…｣


潔子 ｢４組だったっけ｣



縁下 ｢はい、成海Aっていう子なんですけど…｣








私は聞いて、すぐ１年４組に向かった

もしかしたらマネージャーやってくれるかもしれない

そのもしかしたらであって欲しい







潔子 ｢男子バレーボール部のマネージャー、どうかな…？｣








『やります、ぜひ！やらせてください…！！』




１年経った今でも思い出せる

あどけない可愛い顔が綻んだあの瞬間を


目を少しだけウルウルさせて、二つ返事でやりますと言った綺麗な声を









『…こさーん、潔子さーん！』



潔子 ｢あ、ごめん、ちょっと考え事してた｣



『珍しいですね考え事、あれですか？今日の朝ごはん何食べたっけなーみたいな』



潔子 ｢ふふ、んーん、Aが強くなったなと思って｣









Aはもしかしたら辛い思いも悲しい思いも苦しい思いも沢山してきたかもしれない

人一倍、周りに感情移入してしまう子だから

泣きたくなる時があるのかもしれない



でも、私が見るのはいつも笑顔だった

Aちゃんから初めてAって呼び捨てで呼んだ時は今まででいちばんの笑顔だった






今だって隣で、

話すのが苦手な私の代わりに

今日あったこと、昨日見た夢の話、いっぱい話してくれる



少ない街頭に照らされて、

一層輝いてるAは


きっとみんなを照らしてくれるんだよね




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