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ぴっと自然に背筋が伸びた。
雑渡様のお父様はくるりと振り返ると私を見てふにゃっと笑った。
「君がA姫かね?」
「え、ええ、そうですが…で、でももう姫ではないので…」
あまりも優しい笑顔に気が抜けてしまった。
び、びっくりしたわ、雑渡様のお父様でタソガレドキ忍軍の現組頭でもいらっしゃるから、どんなに厳しい方かと思っていたのに…
「ではA殿…せがれの嫁になってくれるというのは本当なのか?!」
ぐい、と私の方へ体をお向けになった父君の目はキラキラと輝いていた。
「ええ、そうなればいいなとは思っていましたけども…」
「ぜひ、ぜひぜひぜひ!!!こんなせがれでも良ければもらって頂きたい!!!」
「ええ?!」
「数年前から縁談を進めてはいるものの全く興味を示さず、終いには相手からお断りの文が大量に届くせがれをぜひもらって頂きたい!!!」
「えええ?!」
「父上、そこまでにしてくださいよ。」
「ええい黙らんか!」
「…うわあ」
「お、落ち着いてくださいませ、雑渡様」
「雑渡様などと他人行儀な!父と呼んでくれ!」
「お義父さま、わかりましたから落ち着いて…」
「組頭!!!!」
「うわまためんどくさいのが来た」
スパーンと小気味良い音がなってふすまが開いた。
「きゃっ!」
「失礼いたします、組頭、恐れ入りますがその娘を里に入れるなど早計かと。」
「おお、そなたたしか狼隊の。…なぜそう思うのだ。」
「殿に正式に認められているとはいえ、どこの馬の骨ともしれぬ娘です!何かあってからでは遅すぎます!それに、小頭にふさわしい娘かもわかりませんし、小頭への恋心もあるらしいですがそれも信用できたものではありません!!」
「でものう…殿に認められておるのは事実じゃし。」
「ですが!」
「そこの貴方。」
「なんでしょう」
ブスッとした顔でこちらに視線が向けられた。
話を聞いている限りでは、雑渡様の部下の方のようね。…たしかに、私は受け入れがたいかもしれないけれど、ここで引く気は毛頭ないし、なにより、雑渡様への恋心を否定されるいわれもないわ
「私を信用できないというのはよくわかります。私もはなから信用してもらえるとは思っていません。ですが。」
ぐっと背筋を伸ばし、まっすぐに、ひたと相手の目を見据えた。
「私の恋心まで否定するいわれはありませんよ。」
「…貴女が、里を逃げ出さないという保証はあるのですか。」
さらに背筋を伸ばして言い放った。
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時