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「さえちゃん、大丈夫?怪我はないわよね?…怖かったでしょう。」
「う、ううう…うわあああああん」
恐怖からか、さえちゃんは泣き出してしまった。
「Aさま、さえ、だいじょうぶ?!」
はつねちゃんと、4人の男の子が駆け寄ってきた。
「うわあああん、Aさまあ、ごめんなさ、ひぐ、う、わた、わたしの、せいで、ひぐ、ふ、」
「ちがうわ、さえちゃんは何も悪くないのよ。」
大きな瞳から次々と溢れ出す大粒の涙を拭いながら、背中を擦る。
「大丈夫、大丈夫よ。」
「Aさま、ほん、とに、ごめんなしゃ、」
しゃくりあげながら謝るさえちゃんの姿に、心が痛む。
小さな体を更に抱きしめた。
その後、左助くんたちは雑渡様の部下の皆さんに送り届けられ、さえちゃんは私と雑渡様で送り届けることになった。
えぐえぐ、と泣いて私から離れないさえちゃんを抱いて、二人で歩く。
雑渡様が何度も抱っこを代わろうとしてくれたけれど、さえちゃんは私にしがみついたままだった。
「さえ!!」
さえちゃんの家の前につくと、いきなり家の中から女性が飛び出してきた。
その後に、一人の男性が続く。
どこかで見たことのある顔だわ、と思えば、私が里に来たとき、言い争ってしまった男性だった。
どうやら彼は、さえちゃんのお父さんであったらしい。
「さえ、無事で良かった、本当に良かった…!」
そっとさえちゃんの体を女性の方へ滑らせる。
彼女はひとつぶの涙を流して、さえちゃんをきつく抱きしめた。
「Aさん、うちの子を助けてくれて本当にありがとう。感謝してもしきれないわ。」
深々と頭を下げられる。
「やめてくださいな、当たり前のことをしただけです。さえちゃんに怪我がなくて、本当に良かった。」
男性は、なおもお辞儀するさえちゃんのお母さんをなだめ、家の中へと入らせた。
二人が家に入った後、彼はふとこちらを向いた。
「…娘をかばってくれて、ありがとう。」
そう言って彼は頭を下げた。
「それから、以前は君に失礼なことを言った。申し訳ない。」
「いいえ。警戒なさるのも、当然のことでした。」
「あの言葉は撤回させてほしい。」
「もういいのです。…少しは信用してもらえたということで、よろしいのかしら?」
「君が信用に値する人だというのは随分前から分かっていた。しかし、謝罪する機会もなかなかなか作れずじまいだった。本当に、すまなかった。」
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (2023年5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時