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気前のいいお魚屋さんの店主におまけを付けてもらったり、八百屋さんでも買っていないカブを手渡されたりして、思っていたよりもだいぶ荷物は増えてしまったけれど、なつさんが手伝ってくれたおかげですべて持ち帰ることができた。
すでに空は黄金色に染まっている。
「なつさん、ここまでで大丈夫です。ありがとうございました。」
「本当に大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。今日一日ありがとうございました。」
「いいのよお!…あら、組頭と雑渡様じゃない。」
「まあ、本当ですね。こんな時間にいかがなさったんでしょう。」
「そうよねえ。お仕事が早く終わりになったのかしら。じゃあ、うちの主人も早く帰ってくるのかしらね。」
なつさんのお家の手前で話していたので、お義父さまも私達に気づかれたらしい。
ひらひらと手を振って、雑渡様と一緒にこちらへ歩いて来られる。
里の中にはタソガレドキ忍軍の方々が鍛錬する場所はあるけれど、家が集まっているところからは離れているところにあるので、滅多に夕方に雑渡様やお義父さまを見かけることはない。
「やあ、A殿となつ殿。二人でお買い物かな。」
「ええ、今しがた帰ってきたところなのです。なつさんにはいつもお世話になっております。」
「ふふ、今日は楽しゅうございました。」
「ああ、今日は確か陣内は早く帰ってくると思うぞ。今日は早く忍務が終わったのでな。」
「そうなのですか。でしたらもう帰らなくては。…失礼いたします、組頭、雑渡様。Aちゃん、またね。」
そう言ってなつさんは家に入っていってしまった。
「ではお義父さま、私もそろそろ失礼いたします。」
「おお、そうか。昆奈門、A殿を送っていけよ。」
「わかってますよ、私もそこまで薄情じゃありませんよ。」
「ありがとうございます。」
お義父さまにぺこりと頭を下げて、昆奈門様の後を追った。
「里の外はどうだった?」
「とても楽しかったです。たくさんお店があって…良い方々ばかりでしたし、いろいろとおまけをもらいましたし。」
「ふうん、良かったね。」
「そうだわ、新鮮なお魚が手に入ったのです。それで何か作りますね。明日はお帰りになりますか?」
「うん。明日は多分帰れるよ。」
「何か食べたいものはありませんか?」
「…この前作ってくれた味噌汁が美味しかった。」
「ふふ、分かりました。用意しておきますね。」
話していたら、あっという間に家についてしまった。
「じゃあね。」
「はい。…お気をつけて」
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (2023年5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時