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「立派な城主でいらした。その血が流れているのがよく分かる堂々とした物言いだった。」
「あの方、悪い方ではないのですね。」
「そーなんだよねー、悪いやつじゃないんだけど、どうも突っ走る癖があるというか。」
「でも、忠誠心の厚い方だとすぐに分かりました。」
「ふーむ、そこまで見抜くことができるとは、なんと聡明な。ますます嫁に欲しいのう。」
「ふふ、雑渡様さえ頷いてくだされば。」
「いやいや、まだ決まってないし。」
「ですが、甚兵衛様から認められた婚約ではありませんか。」
「いやいや、それはね、保護対象としてそばに置いておく言い訳になるからだよ?」
「そんな冷たいことをおっしゃらずとも」
「さて、A殿」
ごほんと咳払いをし、お義父さまは改まった様子で私を見つめた。
「A殿は殿から里に入ることが認められておる。殿が認められている限りは反対するものはいない。…あやつは例外だが。この隠れ里の中では安全に過ごせるはずだ。A殿が疎外されることはないだろう。なんせ、殿から認められた昆奈門の許嫁じゃからのう。」
「はい。」
「先程のような奴も徐々にA殿を受け入れていくはずだ。だから、安心してこの里で過ごして欲しい。」
「ありがとうございます。…私にはもう、頼るところがありませんから。これから、よろしくお願いいたします。」
もう一度深く礼をする。
雑渡様の許嫁として受け入れてくださることで、里の中で私が必要以上に警戒されたり、害されることのないようにしてくださったんだわ。それに、私の雑渡様の許嫁になりたいという希望も叶えてくださったんだもの。甚兵衛様に感謝申し上げなければ。
その後、お義父さまの屋敷を出て雑渡様がお住まいだという家へ向かった。
「なぜ、雑渡様はお義父さまと別々に住んでいらっしゃるのですか?」
「あの屋敷は組頭が住む家だからね。それに私も屋敷をもらってるし。」
その家があれね、と言われ、雑渡様の指の先を見ると、そこには立派な家屋が建っていた。
お義父さまのものよりは一回り小さいけれど、5人は充分に住めるであろう家。
「大きいですねえ。」
「そう?君が住んでた城と比べるとそうでもないでしょう。」
雑渡様の後ろについて部屋を覗いていく。
しかし、その部屋の殆どはホコリを被っていた。
「随分、まあ…」
「ほとんど帰ってこないからねえ」
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ゆき - ハナイツキさん» 今までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!最初の方から何度もコメントを頂いて、本当に励みになりました!感謝の言葉しかございません。さらなるいちゃらぶを目指しますので、続編もよろしくお願いいたします! (5月2日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ハナイツキ - 完結お疲れ様です!本ッッッッ当に大好きな小説です!もう雑渡さんにキュンキュンしまくりで、最後の結婚のくだりでは涙ぐみながら読むくらい、、続編も読ませていただきます!雑渡さんとのいちゃラブ生活のご提供、本当にありがとうございました!!! (2023年5月1日 23時) (レス) @page50 id: a0586360be (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - ミリリン(・ω・)さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。続編も書こうと思っておりますので、気長にお待ちいただければと思います。続編もよろしくお願いいたします! (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - astrumさん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!続編については、書いてみようかなと思っております。続編の方も、よろしくお願いいたします。雑渡さんとのいちゃらぶ生活…頑張ります笑 (2023年3月28日 23時) (レス) id: 11850f2a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミリリン(・ω・) - え?好きです。 ヤバイですね むっちゃ面白かったです! 続編出たら絶対読みます。 気長に待っています! お疲れ様でした! 素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月28日 21時) (レス) @page50 id: 5a9db1aae6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆき | 作成日時:2022年1月30日 0時