拙者をスキーにつれてって ページ47
「気をしっかり持ってください!諦めなければきっとなんとかなりますよ!ね、土方…さ…」
おれ達の後方。巨大な熊がこちらを見ている。
死んだふり、だの目を合わせてゆっくり後退、だのと騒いでいると、そいつが猛進してきた。
逃げようとして、新八が足を踏みはずす。
『ば、馬鹿ッ…!』
寒さでうまく動けない。
おれが掴むより先に、熊が新八の手を掴んで引きあげる。
「怪我はないか。皆が無事でよかった。」
「そ、その声は…」
「征夷大将軍。徳川茂茂…」
「新ちゃん!」
…その熊はお妙により崖下へ。おれ、知らね…
茂茂に案内され、小屋に入る。
外よりはだいぶましだが、長時間吹雪にさらされ冷えきった体はなかなか暖まらない。
『…銀、ちょっと…』
「…すぐ起こすからな。」
そのまま銀の肩を枕に目を閉じる。
変なにおいで目が覚める。
いつの間にか茂茂が変態になっていた。…元からか?
『…なに、やってんの。』
銀達に回され、どこか楽しげな茂茂。
「…余は、楽しい。」
『…そ。よかったな。』
「…!??」
無事新撰組に救助された。
茂茂はスノボにハマったらしく、今日もスキー場にいるらしい。滑り方はともかく。
「お前、なに、将軍とどういう関係!?」
銀に詰め寄られている。寝惚けて普通に会話したのを聞かれてしまった。
隠していたつもりもないが。
『いや…なんか傭兵やってた時に偶然…仲良くなった…?』
「お前のコミュ力はどうなってんだ…!」
『本人も気まぐれだったんだろ。…くしゅん!』
あれから少し悪寒がする。軽く風邪をひいたらしい。
「ああもう…寝てろ!」
おれを抱き上げて布団に転がす。
『別に前ほど酷くねェって…』
「そう言って悪化させんだろお前は…」
ぽんぽんと腹を軽く叩かれ、無かったはずの眠気に襲われた。
餓鬼じゃんおれ。
「寝るまでここにいてやるから。…もう寝そうじゃねェか。」
『…銀の手、落ち着く、から…』
「…そうかよ。おやすみ、迦葉。」
「というか迦葉さん、あんな可愛いくしゃみするんですね。本当に男ですか?」
「ヒロインの私よりヒロインしてるアル。」
「実質ヒロインみたいなもんだからな。」
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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時