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天は人の上に人をつくらず髷をつくりました ページ5

床屋。銀の髪を整えてもらいにみんなでやってきた。

「で、今日はどうする?」
「ストレートパーマで。」

親父と銀の言い合いが聞こえる。…おれもストパー当てた方がいいのかな。

「迦葉、ゴルゴ17めちゃくちゃ面白いアル。あぶさんも読みたいネ。」
『変な嗜好だなァオイ…』
「渋すぎですよね…」

そんなおれ達の会話に、親父が混ざってきた。銀を置いて。
どうやら羽振りが悪いらしい。原因は向かいにできた新しい美容院。客は全てあちらに取られてしまったのだと。
それでも親父は人との縁を選んだ。

「ほら、あぶさん全巻だ。」
「ありがとうネマスター!」
『え、お前これ全部読むの?…おれちょっと寝てていい?銀もまだまだかかりそうだし。』
「おかしいよねェお前が寝れるほど俺の散髪が終わらないなんて!」

「…これ、7巻だけ無いヨ!」
「何!?ひとっ走り行って買ってくるから、店番頼むぞ!」
「「らじゃ!」」
「散髪をしろォ!」
『…寝よ。』

裏の椅子に座って目を閉じた。



…騒がしい。

『なに、やってんの…』

目の前には何故か変装をした銀達。

「迦葉!お前だけが頼りだァ!」
『…はァ?』

店内には3人の客。近藤、小太郎、茂茂。…茂茂?

「俺達には無理だが器用なお前ならどうにかできんだろ!?」
「助けてください迦葉さん…僕まだ死にたくないです…」

つまり茂茂の髷を結え、ということらしい。

『…パフェ奢れよな。』



念の為、おれも鬘を被る。

『すんません、お待たせしました。適当にリラックスしといてくださいね。』
「ああ。頼むぞ。」

茂茂の髷を解き、梳く。さすがは将軍、というべきか、丁寧に手入れがされているらしい。

『…お客さん、パーマとか興味無い?』
「(オイコラ迦葉!将軍を引き摺り落とそうとするなァ!)」
「パーマ、か。少し興味はあるが、今日はとりあえず髷を結ってくれ。」
『…はーい。』

髷なんて結ったことはないが、気に入らなければ直させるだろう。
普段と違う髷をご所望なようなので、適当に緩く編み込んで髷を結う。時にはお洒落も大事。知らんけど。

『はい、できました。』
「…こんな髷は始めてだ。連れてきてもらってよかった。ありがとう。」

満足そうに帰っていった。
銀達が泣いて喜んでいるのが見える。

どうせなら、と近藤の髪をワックスで撫でつけオールバックに。
小太郎の髪を女のように結い上げた。
喜んでいたので大丈夫だと思う。…知らんけど。

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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時

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