【銀魂】怨結び【男主】4 (ページ29)

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お控えなすって！ページ29

？side

「ああ、迦葉様、本当に素敵だった…！華佗も少しは役に立つのね。」

渡した薬を使用され、本能のままに戦うお姿を思い返して思わず顔が緩む。
その横で、阿伏兎がため息をついた。

「団長のお気に入りに変な薬使わせやがって…お前さん、殺されても知らねェぞ。」
「何よ、神威だってあの迦葉様を見れて楽しかったでしょうに。…あの時、殺してしまわなくて良かった。動かないのも素敵だけど、やっぱり迦葉様には赤色がお似合いね。」

振られてしまって思わず刺してしまったけれど。
…相も変わらずあの方に纏わりつく目障りな奴ら。釣り合うとでも思っているのかしら。

「…確かにあの顔も好きだけど、次勝手な真似したら殺しちゃうぞ。」

いつの間にか後ろに立っていた神威。ニコニコと私を見る。

「貴方ごときに使う命は無いの。今は利害が一致してるだけ。要らなくなったらすぐに殺してあげる。」

迦葉様。私の全て、貴方に捧げます。
だからどうか、貴方はあるべきお姿へ。

「…地球産ってのはイカれた奴しかいないらしいねェ。」
「はは、振られた女が何を。…そろそろ行こうか、阿伏兎、…梓。」

主人公side

しばらくして、みんなの傷は癒えた。
次郎長はこの町を出た。落としてきたものを拾い、詫びる旅として。

「そういやこれ、あんたに次郎長から預かってるよ。」
『ん…？』

お登勢から包みを受け取る。中には高そうな菓子と茶葉。
まさか本当にくれるとは。次郎長は良い奴。

「えっ！これ僕達じゃ手が届かないほど…迦葉さん、あんた何したんですか…？」
『大したことしてねェのに。』
「貰っとけ貰っとけ。」

ぽんぽんと頭を撫でられる。ありがたく貰っておくとするか。

『新八、これで茶、淹れて。みんなで飲もうぜ。』
「いいアルか！？このお菓子も分けてくれるアルか！？」
『1人で食いすぎんなよ。お登勢、皿！』
「…あたしの分は多く分けるんだよ。」

騒ぎながら茶を飲む。

おれがいない間、ここは取り壊されようとしていたらしい。
町の人間達が、それを阻止したと。

ここから旅立っていった、ここの住人である親子の顔を思い浮かべて微笑む。
どうか彼らの旅路が幸せであるように。

「そういや迦葉、耳弱いアルか？」
『…あ？弱くねェよ。』
「神楽ちゃん、あんまりそういうの言っちゃだめだよ…」
「ま、弱いからってお前には触らせねェけどな。」
『だから弱くねェって…ん、』

銀の指が耳に触れる。
…にやにやすんな。