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お控えなすって! ページ26

銀時side

華佗を目指して走る。
あの後、お登勢は一命を取り留めた。しかし傍で倒れていたはずの迦葉の姿がどこにも見当たらない。

あの時次郎長はあの女、と言っていた。四天王の中で、あの時迦葉に細工できたのは華佗1人。
あいつを取り返してこの戦争も終わらせる。

西郷の息子を神楽と新八に任せ、そいつと向き合った。
周囲には大量の辰羅兵。奥に次郎長の姿。

「ふふ…何をしにきたのか知らんが、女子供だけはこの修羅場から逃がしてやったつもりか?」
「そんなんじゃねェよ。…迦葉はどこだ?よくわからねェが、ジジィもてめェらも皆殺しにすればでてくるのか?」

迦葉の名を口にした途端、華佗の顔が歪んだ。

「…あやつは危険じゃ。薬で理性を奪ったというのに、まさか目に入るもの全てを殺そうとするとは。こちらの兵も半数以上があやつの餌食…」
「…てめェ。」

突如、上の方から破壊音が響く。そのまま天井を突き破って何かが落ちてきた。

砂埃の中、ゆらりと立ち上がる人影。

『ごめ、なさい。ごめん。ぎん、おれ、ごめんなさ…』

虚ろな目で涙を流しながら、人だったものから木刀を引き抜く迦葉。

「…あれだけの兵を持ってして抑えられぬとは。なんと恐ろしい…」

俺の名を呼んだ。酷い悪夢を見ているらしい。助けなければ。護らなければ。

迦葉の目が辰羅を捉える。
殺し合いが、始まった。

「俺が殺るまで。」
「死ぬんじゃねェぞ。」

次郎長に背中を預け、辰羅を斬り伏せていく。

「オイ迦葉!すぐ目ェ覚ましてやるからな!」

声が届いているかわからない。理性もとんでよりめちゃくちゃな戦い方をしているが、なぜかこちらを視界に映さない。それどころか、俺達を庇うような立ち回り。
まだ、耐えている。

「小僧!てめェには茶を振る舞わねばならんらしいな。すぐに用意させてやる!」
「ジジィ!迦葉に茶ァやるなら最高級品で頼むぜ!」

何度も声をかける。
不意に虚ろな目が俺を映した。

「くそ…」

木刀を構え迫ってくる。
そのまま俺を通り過ぎ、真後ろの敵を斬った。

「お前…!」
『…も、もちろん…美味ェ菓子は…あるんだろう、な…』

理性が、戻った。3人で背中を預け合う。

『…悪ィ、まだ、抜けきらねェ…こんな雑魚相手に死んだら、殺すからな…!』
「なんて小僧だ。安心しろ、貴様らを殺すのはこの俺だ。」
「2対1、だな。」

「なっ…春雨の名にかけて、やってしまえ!」

敵兵が一斉に襲いかかってくる。

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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時

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