料理は根性 ページ22
朝。神楽が嬉しそうに卵かけご飯をかき込む。おれ達はそれを虚ろな目で眺めた。
『…何日目?』
「少なくとも1週間はこれ…だな…」
神楽が食事当番になってからもうずっと卵かけご飯。卵の殻が山になってる。
「美味しいから別にいいじゃん。いくらでも入るアル。」
「お前はな。もういい加減にしようぜ…勇者も巣立つ時が来たんだ…」
『栄養偏るぜお前…知らねェけど…』
文句を言うおれ達に卵の殻を投げつけ、皿に残った飯をかき込んで外へ行ってしまった。
拗ねたか、あれは。大方志村家に愚痴でも言いに行ったんだろうな。
「…迦葉、なんか飯作って。」
『なんかって…しょうがねェな。』
勿体ないので卵を使って何か…と目に入った食パンを切って卵液に漬けて焼く。余った米は適当に混ぜ込んで握り飯に。腹減ったら誰かが食うだろ。
盛り付けて、銀の前に置いた。
「お前これフレンチトーストじゃねェか…!」
『え?嫌いじゃねェだろ?』
「…くそ、俺の嫁…できる!」
『嫁じゃねェよ殴るぞ。』
美味い、と頬張っている。おれも自分用に焼いた分を口に入れた。…美味ェ。
神楽は新八達と料理教室に行っていたらしい。晩飯は炒飯だと楽しそうにキッチンへ向かった。
『怖ェ…米と卵使ってるからって卵かけご飯出てくるんじゃねェだろうな…』
「大丈夫ですよ。僕達ちゃんと教わってきましたから。」
「馬鹿野郎、料理なんて一朝一夕で上手くなるもんじゃねェよ。迦葉は器用だっただけで。」
キッチンから何か格闘する声が聞こえる。炒飯ってそんな工程あったか…?
『…オイ神楽、一旦止まれ。作り方教えてやるから。』
「大丈夫アル!料理は愛情ネ!」
『普通爆発音なんて聞こえねェの!いいか、炒飯を作る時はな…』
神楽の横に立って、作りながら説明する。
…そもそも餓鬼1人が料理する時は火使わせられねェけど。
『…はい、こんなもんだろ。』
「流石アル!もっと教えてほしいアル!」
『おれのやる気があったらな。ほら、持ってけ。』
「…最初から迦葉さんに教わればよかったんじゃ…」
「あいつはなんだかんだ面倒見良いからなァ…顔よし、性格よし、愛嬌よし、ときて料理までできるたァ…チビなことだけが救いか…」
『…いまチビっつったの誰?』
「言ってませんよ銀さんは。新八くんじゃないかな。」
「ちょっと銀さん!?違いますからね!銀さんですからね!」
『歯ァ食いしばれ!』
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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時