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目が覚めたら知らない天井って普通に怖い ページ16

団子、パフェ、ドーナツと巡り、満たされたおれは木陰で少し休んでいた。
眠気を感じて、どうせ今日は仕事もないし、と素直に目を閉じる。



目を覚ますと見覚えのある天井。ここは新撰組の屯所だ。

「お目覚めですかィ?抱き上げられても起きねェなんざ、無防備にも程がありますぜ。」
『誰か警察を呼べッ!誘拐だろ!』
「俺が警察でさァ。落し物は拾うのがお巡りさんの仕事なんでね。」
『新撰組じゃ昼寝してる奴を落ちてるって認識すんのか?怖ェよ。』

この町は安心して昼寝もできやしねェ。
とりあえず帰るか、と襖に手をかけた。

「なんでィ、久しぶりの出番だってのにもう終わらせるつもりですかィ?帰らせねェぜ。…ちょいと付き合ってくだせェ。」
『何回も言ってるがおれァ新撰組じゃねェぞ。』
「…こいつは俺個人からの頼みでさァ。」

珍しく真剣な顔でおれを見る。何度も連れてこられては万事屋への依頼と称して新撰組の仕事をやらされていた。きっと今回も、と思ったがそうではないらしい。

『新撰組じゃ動けねェ仕事なのか。』
「誤解でさァ。…俺がただ、あんたと話がしたいだけなんですがね。」
『話…?』

近藤や土方には話せない相談でもあるんだろうか。
わざわざおれを頼ってきたらしいこいつを置いて帰る気にもなれず、総悟の手を引いて散歩することにした。



夕暮れ時。人気のない土手を2人並んで歩く。

『で、話ってなんだよ。』
「それより迦葉さん、見てくだせェ。あそこにでかい鳥がいますぜ。」
『はァ…?』

ここなら誰にも会話は聞かれないし、と思って話しかけてやったのに、本題に入ろうとしない。そんなに言いにくい話なら、総悟が話し始めるまで待ってやるか。



静かな時間が流れる。
しばらくして、足音が1つ消えた。

『総悟?』

少し後ろで俯いたまま立ち止まっている。今日の総悟はどうにも様子がおかしい。

「…迦葉さん。」
『どうした?』

何かを言いかけては口を噤む。少し手が震えていた。
総悟に体を向け、落ち着くのを待つ。

「…好きでさァ。」
『…え?』
「…俺、あんたのことが好きだ。」

赤い顔をして、真っ直ぐにおれを見る。

おれはいま、総悟に告白されている…?

戸惑うおれの手を取り握りしめた。

「勝ち目がないのはわかってる。それでも、俺はあんたが好きなんだ…」
『…悪ィ総悟、おれは…』
「…そうですよね。あんたは俺より旦那の方が…」

銀の方が何なのかは知らないが、何か少し勘違いをしているらしい。

目が覚めたら知らない天井って普通に怖い→←閑話。



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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時

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