検索窓
今日:154 hit、昨日:223 hit、合計:7,115 hit

往時。 ページ11

屍の道を2人で歩く。
おれにはよくわからないが、刀の刃の部分は握るべきではないらしい。
そこらに落ちていた刀を拾う。

『…これ、大きい…』
「俺達が小さいんだよ。あんなもんばっか握ってたら手がズタズタになる。握れなくなるだろ。」
『そう…』

何度か襲われる度に、刀の使い方を覚えていった。



「ほら、迦葉、食え。」

銀から握り飯を差し出される。先程屍から2つ手に入れた。
並んでそれを頬張る。

『…銀、口に…』
「ついてる?取って。」

そう言われても両手で握り飯を持っていて手を使えない。
そのまま銀に顔を近付け、舐めとった。

「ば、馬鹿何やってんだ!びっくりするだろ…」
『…顔、赤い。…大丈夫?』
「…迦葉のせいだから。」



「屍を喰らう鬼達が出ると聞いて来てみれば…君達がそう?」

突然見知らぬ男が声をかけてきた。そいつはおれ達の頭に手を置いて笑いかけてくる。

「また随分と可愛い鬼がいたものですね。」

黄緑色に覆われた不思議な人。…腰には刀。危険だ。殺される前に殺さなければ。
飛び退いて刀を引き抜く。

「迦葉、離れるなよ。」
『…うん。』

「それも屍から剥ぎ取ったのですか?童子2人で屍の身ぐるみを剥ぎ、そうして自分たちの身を護ってきたのですか。大したもんじゃないですか。」

…笑っている。刀を向けられて、なお。

「だけど、そんな剣、もう要りませんよ。人に怯え、自分を護るためだけに振るう剣なんてもう捨てちゃいなさい。」

腰から刀を抜き取り、おれ達に投げてきた。

「えっ?わ、」
『…重…』

どうにか2人で受け止める。そこらに落ちてるのとは違う、なんだか綺麗な刀。

「くれてあげますよ、私の剣。そいつの本当の使い方を知りたきゃ、ついてくるといい。これからはそいつを振るい、敵を斬るためではない。弱き己を斬るために。己を護るのではない。己の魂を護るために。」

おれ達に背を向け歩き始める。

『…今の手、あったかい…』
「…迦葉、いくぞ。」

先程触れられた自分の頭を触っていると、銀がおれの手を握った。…あったかい。

共にあの人の大きな背を追いかける。

夜の蜘蛛は縁起が悪い→←夜の蜘蛛は縁起が悪い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月28日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。