閑話。 ページ48
銀の様子がおかしい。
新八は家に帰り、祭りで暴れ…遊び疲れた神楽は定春と共に押し入れで眠っている。潰れねェならいいんだけど。
先程からウロウロしている銀に痺れを切らして、尋ねた。
『銀、なんかあった?』
しかし返ってくるのはえっと、だのいや、だの歯切れの悪いものばかり。ふと晋助のことを思い出す。
『そういや晋助には会えた?おれ、花火が上がる前くらいに会ったんだけど…』
言い切る前に、勢いよく肩を掴まれてソファの背もたれに押し付けられる。
『な、なにすんだよ!』
俯いていて表情がわからない。引き剥がそうと腕を掴んだ時、銀が口を開いた。
「…高杉と、何があった。」
『…?何もねェよ。花火が上がってすぐどっか行っちまったけど。』
「…本当に、それだけか。」
疑問符がない。なんだ。何を聞かれている…?
困惑していると、不意に銀がおれの首巻を取る。赤い目がおれを見つめる。
『なんだよォ…』
「これァなんだ。」
銀の手が首元に触れる。確かそのあたりは晋助に煙をかけられた後、何かが触れた場所…
あの時の状況を説明する。しかし相槌もないので聞いているのかわからない。
『おい、聞いてんの?』
何も話さなくなってしまった。あーあ、いつまでこの状態なんだか。目を逸らして部屋を眺める。その瞬間、銀がおれの首に噛み付いた。
『はッ!?なにやって…うぁッ。』
変な声がでた。こいつ、舐めやがった…銀の肩を押し返す。びくともしない。元々おれと銀とじゃ体格差がありすぎる。それに加えてこの馬鹿力。
痛みは感じないが、ぞわぞわと気持ちが悪い。生理的な涙がでてきた。
『お、おい、銀…ッ!』
しばらく抵抗していると、ようやく銀の口が離れる。顔を上げたその表情は、どこか…獣のような…
どこか妖艶なその瞳が、再びおれを捉える。
自らの口元に付いた血を舐めとる銀。…こいつ本気で噛んでやがった。血が垂れるのを感じる。
銀が何を考えているのかわからない。思考が上手く纏まらない。目を逸らせない。銀に手は出せない。どう…すればいい。
再び銀の顔が迫ってくる。
視界の隅で、押し入れが開いた。
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sakamata(プロフ) - ぴびびさん» 令和のこの時代に銀魂再燃してしまってメソメソ筆を取った次第なんですけどまだ仲間がいて嬉しいですありがとうございます!! (4月10日 8時) (レス) id: 17e0808b09 (このIDを非表示/違反報告)
ぴびび - ふおぉぉぉぁぉお泣銀魂男主過疎っていってるので書いていただけて本当に嬉しいです泣神様です泣更新応援させていただきます!!!!! (4月10日 1時) (レス) @page4 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月6日 20時