閑話。 続 銀時side ページ33
飲みすぎた。これはまずい。フラフラしながら、我が家に帰る。
「迦葉!銀さんが帰ったぞォ!」
…返事がない。寝てんのかァ…?そう思って部屋を覗いても迦葉の姿はない。出かけたか…?他の奴と遊んでいるのでは、と思うともやもやして、気は進まないがお登勢に愚痴でも聞かせようかと店へ向かう。引き戸へ手をかけた時、お登勢の声が聞こえた。
「あんた、銀時のことどう思ってんだい。」
お、俺…!?なんだババァ、誰と話してやがる…!引き戸から手を離し、黙っていると聞こえてきたのは迦葉の声だった。
『…銀がそばにいるとあんしんする。だいじだよ…』
は…はァ!?何聞いてんだババァ…!酔いは覚めていた。自分の鼓動がはやくなるのを感じる。顔も熱い。そして気付いた。迦葉は酔っている。
…攘夷戦争の時代、酒を手に入れた日のことをふと思い出す。みんなで飲んでしばらくした後、迦葉の様子がおかしくなった。
(『へへェ、銀、もっとおれのあたま撫でてェ…』)
そう。あの迦葉が。普段頭を撫でると顔を赤くしてどこか困ったような顔をする迦葉が。甘えてきている。俺に。
どうやら酒で素直になってしまうようで、あの笑顔を見た仲間が何度かあいつに近付こうとするのを見かけた。あれ以来酒を飲ませるのはやめておこう、と決めていた。
それがどうしてか、酒を飲んでしまった迦葉がいま戸の向こうにいる。…どうしてもお登勢との会話が気になり、しばらくその場から動けなかった。
しかし迦葉がそんなことを思っていたとは。嬉しい。にやけがとまらない。これは脈アリでは…?銀さん本気で頑張っちゃおうかな…
好きな奴は、というお登勢の問いに、好きという気持ちがわからないと答える迦葉。しかし続くお登勢の言葉に、真っ先にでてきた名前が俺だったことで内心とても舞い上がっていた。…ヅラや高杉の名前も聞こえたのはこの際置いておく。
つーかババァ、俺に気付いてるな…
迦葉の声が聞こえなくなり、そっと引き戸を開けた。カウンターに突っ伏して眠る迦葉と、こちらを見てにやつくババァ。いいものを見た、お代は結構だというお登勢に複雑な気持ちを抱きながら、迦葉を横抱きにして2階へと戻った。
…あの迦葉を見れるなら、たまには2人で酒もいいな。…2人きりで。
気持ちよさそうに眠る迦葉の額に、そっと口付けをした。
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sakamata(プロフ) - ぴびびさん» 令和のこの時代に銀魂再燃してしまってメソメソ筆を取った次第なんですけどまだ仲間がいて嬉しいですありがとうございます!! (4月10日 8時) (レス) id: 17e0808b09 (このIDを非表示/違反報告)
ぴびび - ふおぉぉぉぁぉお泣銀魂男主過疎っていってるので書いていただけて本当に嬉しいです泣神様です泣更新応援させていただきます!!!!! (4月10日 1時) (レス) @page4 id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:逆叉 | 作成日時:2024年3月6日 20時