【ヒソカ】青い果実は仕掛かり品【HUNTER×HUNTER】

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ゲームを一時離脱していたり、ゲームオーバーで死亡したりしてグリードアイランドにいないプレイヤーの名前は、暗く表示される。

「アベンガネ、アベンガネ……いる。生きてる」

アベンガネの名は白く光っていた。という事は、彼は何かしらの方法で命の音(カウントダウン)を除念した。

彼自身が除念師かどうかは不明だが、方法はあったと言うこと。もし彼自身が除念師ならば、一刻も早くヒソカから遠ざけなくてはならない。

マサドラへ向かって、全力で駆ける。ゲームを離脱するとフリーポケットのカードは消失するためビスケ達に預けている。しかし、彼女たちがどこにいるか分からない今はマサドラでスペルを仕入れる方が早いだろう。

道中の岩石地帯は懐かしく思える。あの時てこずった怪物も、今やワンパンで倒していくことができる。

フリーポケット45枚分ギリギリまでモンスターカードを詰め込んで、マサドラのショップへ駆け込んだ。

換金して得たスペルは12枚。その他、水や食料を買ってすぐに街を出た。どこで爆弾魔(ボマー)がプレイヤー狩りをしているか分からない。ショップで大量にスペルを買った人間など、格好の標的だ。

実際、ショップでスペルを買ったプレイヤーが何者かに襲われるという噂も聞いた。どうりで、ショップも街も閑散としているわけだ。

その辺をコソコソ歩いていたプレイヤーに脅し聞くような真似をして、彼には悪いことをした。

私の円(エン)は可動式で最大長径30メートルまで伸ばせる。レーダーのように円(エン)を操り全方向を注意深く探査しつつ、最速で森を走り抜けた。

岩石地帯まで戻ると周囲の気配を確認し、左手を軽く前に突き出した。

「ブック。“追跡(トレース)” 使用(オン)、アベンガネ」

アベンガネがいるらしい位置を確認すると、本(バインダー)を閉じた。再来(リターン)などで飛んで行ってもいいが、彼の周辺にすでに幻影旅団がうろついている可能性もある。

慎重を期して、私は地道を走っていくことにした。

昼夜走り続けている間も追跡(トレース)の効果は持続する。

「あまり、動かないな」

アベンガネは、ある街に逗留したまま移動する気配がない。街が見える遥か手前で念のため絶(ゼツ)をして、夜になるのを待ってから街に入った。

暗くなっても、人が多いことは幸いした。

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