検索窓
今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:251,195 hit

125 ページ25

今はとにかく、私にできる事をやろう。そう考えて、キルアに声をかけた。

「キルア。少し、手を診せて」

「ああ」

直接、患部に触れては激痛が走るだろうと判断して手首に両手で触れた。オーラが緩やかにキルアの体内を巡るのがわかる。

「重度の火傷と、それによる水膨れ。加えて指先が壊死してる」

今の自分では治癒できない、と言外に伝えるとキルアは明るく笑った。

「こんな怪我、どうってことねーよ。すぐに自力で治してやる」

そうか、と私も気が軽くなり、自然と笑顔を浮かべた。さて、ゴレイヌは打撲だけだし残るは一人。

「ヒソカ」

歩きながら私は呼び掛けた。それにヒソカが上半身だけこちらを向けた。

「なんだいA♧」

「手を、診たい」

私がそう言うと、ヒソカは一歩足を踏み出した。そして私のすぐ前で足を止めた。

「…何してるんだい?診てくれるんだろぉ?」

「え、あ、うん」

予想以上の近さにドギマギしながら、私は彼の手を取った。やはり、十本ともバキバキの複雑骨折。だけど、キルアと違ってどうにかできそうだ。

「どうだい?」

「問題無く完治できる」

言葉と同時に、念をかけた。言い終わる前に、彼の指はと同じ通りになった。

「ありがと♡それにしても、キレイになるもんだねえ♤」

まじまじと、ヒソカは自分の指を見つめた。

「治療費、1000万J(ジェニー)ね」

なーんてね、嘘だよと続けようとしたが不意に何かに遮られた。温かい吐息を間近に感じて、すぐにそれは離れた。

ぺろっと唇を舐めたヒソカは満足気だ。

「は?え?」

「ご馳走さま♡次はもっと深いところで味わいたいなァ……」

目を白黒させる私を見て、ヒソカは細い目をさらに細めた。

「キミには嘘は似合わない♢」

大きい手が、私の顎をなぞった。ようやく自分の状況を理解して、私はヒソカの胸を押しやった。

「嘘はいけない。でも軽率はもっといけないよ、ヒソカ」

経験豊富そうな貴方なら知っているでしょうに。余計なことをして、後悔しても知らないよと私は言いたかった。

「ボクは君にゾッコンなんだけどねェ♧」

闘う時のような眼差しに、思わずぞくっとした。間違いなく彼は私より強くて、それこそ本気を出せば私など容易に殺せる。

でも、彼はそうしない。

見込みがあるとか何とか言って、弱い相手でも伸び代があれば互角に成長するまで待つ変人なのだ。

126→←124



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (211 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
365人がお気に入り
設定タグ:HUNTER×HUNTER , ヒソカ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Ash(プロフ) - かなめさん» かなめさん、こんにちは。更新遅くなってすみません。ヒソカ推しの同志がいてくれて嬉しいです。 (2020年3月19日 11時) (レス) id: 15c859a546 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ(プロフ) - 更新お疲れ様です!ヒソカ推しなのでかっこいい姿が沢山あって嬉しいです (2020年3月16日 12時) (レス) id: 70bd3babc7 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - スーパーヒソカタイムめっちゃ笑いました!!更新がんばって下さい! (2018年3月10日 21時) (レス) id: 2984f0eef0 (このIDを非表示/違反報告)
鉄子(プロフ) - キングダムっぽい技ですねwトーンタンタンは技の掛け声として最高です!w楽しく読まさせていただいています!がんばってください! (2017年11月24日 22時) (レス) id: a0856aab8c (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - 待ってますね!頑張ってください! (2017年11月22日 18時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Ash | 作者ホームページ:vhttp://  
作成日時:2017年10月28日 5時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。