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今はとにかく、私にできる事をやろう。そう考えて、キルアに声をかけた。
「キルア。少し、手を診せて」
「ああ」
直接、患部に触れては激痛が走るだろうと判断して手首に両手で触れた。オーラが緩やかにキルアの体内を巡るのがわかる。
「重度の火傷と、それによる水膨れ。加えて指先が壊死してる」
今の自分では治癒できない、と言外に伝えるとキルアは明るく笑った。
「こんな怪我、どうってことねーよ。すぐに自力で治してやる」
そうか、と私も気が軽くなり、自然と笑顔を浮かべた。さて、ゴレイヌは打撲だけだし残るは一人。
「ヒソカ」
歩きながら私は呼び掛けた。それにヒソカが上半身だけこちらを向けた。
「なんだいA♧」
「手を、診たい」
私がそう言うと、ヒソカは一歩足を踏み出した。そして私のすぐ前で足を止めた。
「…何してるんだい?診てくれるんだろぉ?」
「え、あ、うん」
予想以上の近さにドギマギしながら、私は彼の手を取った。やはり、十本ともバキバキの複雑骨折。だけど、キルアと違ってどうにかできそうだ。
「どうだい?」
「問題無く完治できる」
言葉と同時に、念をかけた。言い終わる前に、彼の指はと同じ通りになった。
「ありがと♡それにしても、キレイになるもんだねえ♤」
まじまじと、ヒソカは自分の指を見つめた。
「治療費、1000万
なーんてね、嘘だよと続けようとしたが不意に何かに遮られた。温かい吐息を間近に感じて、すぐにそれは離れた。
ぺろっと唇を舐めたヒソカは満足気だ。
「は?え?」
「ご馳走さま♡次はもっと深いところで味わいたいなァ……」
目を白黒させる私を見て、ヒソカは細い目をさらに細めた。
「キミには嘘は似合わない♢」
大きい手が、私の顎をなぞった。ようやく自分の状況を理解して、私はヒソカの胸を押しやった。
「嘘はいけない。でも軽率はもっといけないよ、ヒソカ」
経験豊富そうな貴方なら知っているでしょうに。余計なことをして、後悔しても知らないよと私は言いたかった。
「ボクは君にゾッコンなんだけどねェ♧」
闘う時のような眼差しに、思わずぞくっとした。間違いなく彼は私より強くて、それこそ本気を出せば私など容易に殺せる。
でも、彼はそうしない。
見込みがあるとか何とか言って、弱い相手でも伸び代があれば互角に成長するまで待つ変人なのだ。
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Ash(プロフ) - かなめさん» かなめさん、こんにちは。更新遅くなってすみません。ヒソカ推しの同志がいてくれて嬉しいです。 (2020年3月19日 11時) (レス) id: 15c859a546 (このIDを非表示/違反報告)
かなめ(プロフ) - 更新お疲れ様です!ヒソカ推しなのでかっこいい姿が沢山あって嬉しいです (2020年3月16日 12時) (レス) id: 70bd3babc7 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - スーパーヒソカタイムめっちゃ笑いました!!更新がんばって下さい! (2018年3月10日 21時) (レス) id: 2984f0eef0 (このIDを非表示/違反報告)
鉄子(プロフ) - キングダムっぽい技ですねwトーンタンタンは技の掛け声として最高です!w楽しく読まさせていただいています!がんばってください! (2017年11月24日 22時) (レス) id: a0856aab8c (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - 待ってますね!頑張ってください! (2017年11月22日 18時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)
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