26 ページ2
口移しか……。ちら、とソファーカバーを見る。
『こぼしちゃうからダメ』
「こぼさなかったら、イイの?」
この時、ミトは自分の娘とヒソカの関係について鋭く察していた。
ゴンとキルアを居間から退場させ、廊下の角から居間を三人で覗いている。
「ねっ、ゴン、キルアくん。Aとヒソカくんって、そういう関係なの?」
できるだけ、コソコソ声でミトは話しかけた。
ゴンは困ったように眉を下げ、キルアは頭の後ろで手を組んで複雑な顔をする。
「あのねミトさん。姉さんは別に、ヒソカを好きな異性として見てないと思うんだ」
「同居人のクロロってやつとも仲が良いし、オレの兄貴のイルミとは、寮でよく一緒に料理したりしてるしね」
ミトたち三人は、Aが背を向けているので彼女の表情は見えない。だが、ヒソカがものすごく緩んだ、ある意味だらしない顔をしている様子はよく見える。
「ね、口移しとか、そーゆー色っぽいサービスはないの?」
ヒソカが、Aに甘い声でねだる。少し間があって、
『こぼしちゃうからダメ』
そこかよ、とキルアは危うくツッコミそうになり、慌てて口を両手で押さえる。
「えー、こぼさなかったらイイの?」
駄々をこねる、ヒソカ。
うーん、とAが返答に窮している。またもやキルアは、「さっさと飲めよ!!」と叫びたい衝動を必死でこらえる。
キルアは、Aの母がヒソカにどんな印象を受けたのか気になって、彼女を振り返るが、ミトはこの状況を楽しんでいる節すらあった。
「だって、ヒソカくんてイケメンじゃない?私は、Aをあげてもいいわぁ」
と、完璧に見た目で判断するミトであった。ちなみに、彼女は面食いである。
キルアは、もともとヒソカが気に食わなかったのだが、今日ようやくヒソカの良い所をみつけた。
「……顔だけはいいんだからな、ムカつくけど」
「キルア、どうかした?」
ゴンが、耳聡く聞いていたが、「何でもねーよ」と煙に巻く。
あのね、とAが言う。陰に隠れている三人は、全神経を耳に集中させる。
『口移しは、ちゅーと一緒でしょ?』
「ボク、キミとチューしたい♡」
『なんで?お水飲むだけなのに、チューするのはなんで?』
ただ、純粋な疑問をぶつけただけらしかったが、ヒソカはAの天然に完敗し、諦めてストローで水を飲みだした。
キルアは安堵の、ミトは残念のため息をこぼし、ゴンは未だ状況を理解していなかった。
三者三様の反応であった。
126人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アニオタで何が悪い。 - 伸縮自在に恋をしよう1 の禁制品には、どうやって見るんですか? 検索で「伸縮自在に恋をしよう【禁制品】」と検索しても見られません。 (2018年11月21日 20時) (レス) id: b56a29ce1c (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - Ashさん» 原型師の方も最後は諦めたようなコメントしてますしね。集英社さんのコメントも笑わせてくれました。ヒソカファンには良い品だと思いますwもちろん私的にも好きですよ! (2018年1月5日 23時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - ムルムルさん» 光るフィギュアありますよ〜ハハハ。ジャンプ作品って少年向け……ですよね。私としては大歓迎だけど、一般倫理的には如何なのでしょうか。良い子の少年たちのトラウマになりませんように……。 (2018年1月5日 23時) (レス) id: 4dace98124 (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - ほら、ゴン、キルア。あっちで姉さんと遊んどいで。え?ヒソカ?あいつはちょっと空に飛ばしてくるよ (2018年1月5日 22時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)
ムルムル(プロフ) - Ashさん» そんなフィギュアあるんですか!?初めて知った……え、ヒソカ!光らせる要素あった!?早く消してよ!!二人の教育に悪い!! (2018年1月5日 22時) (レス) id: 42a08529e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ