3 ページ3
ヘラ、と笑って見せたヒソカは、さも当たり前のように、私の向かいの椅子に腰掛けた。嫌な緊張が走るが、ヒソカは全く気にした風に見えない。ゴクリと生唾を飲み、慎重に一言目を選んだ。
「…私はA=フリークス」
問われた質問には、一応答えた。
「ふうん、Aね♧ボクのことは気軽にヒソカって呼んでよ♢」
何故、私がおまえの名前を呼ばねばならない。そもそも他人のフリをするに決まっている……。
言いたいことは山とあったが、グッと腹に飲み下し、できるだけ声の抑揚を抑えて、頷いた。
「わかった」
「去年、一緒に不合格になったよしみだ♤詫びも兼ねて、今年の会場まで案内するよ♡」
肘をついて笑顔を崩さない彼に他意は無さそうだが、話の真偽をはかりかねてこちらが黙っていると、優しく手を包まれた。
「…信じられないかい？」
「信用しろって言う方が、無理だ。去年のことだってある」
馴れ馴れしいヒソカの手を押しやっても、彼は別段、気にした風はない。ヒソカの金色の瞳を正面から見据えても、薄っぺらな厚意の他は何も感じられなかった。
「試験会場に行くのは、今週の末♧それまで五日あるから、その間に信用できるかどうかはキミが測ればいい♢」
喫茶を出て、商店街が居並ぶ通りを二人で歩いていた。
「…話が美味すぎる。何の見返りを求めているの？」
「んー、ボクが欲しいのはキミ自身♡」
ちら、とこちらを見遣ったヒソカの顔は驚くほど美しく、前言がなければ私は彼をあっさり信用したに違いない。
下顎に伸ばされたヒソカの手は、私の唇を薄くなぞった。背筋が冷える。その手が軽く風を切れば、私の首なんてあっさり飛ぶだろうに。
唇を渡るヒソカの指から離れるように、私はそっぽを向いた。
「無意味って？」
「あなたの好きなものは、強者との戦闘ではなかったの？」
なるべく彼の神経に触らないよう、やんわりと話題を反らした。
「モチロンそうさ♧
どうやら私は、違うツボを刺激してしまったらしい。舌なめずりをして興奮を隠さないヒソカに、呆れたような視線を寄越した。
「そうなんだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 427人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
†NANA†(プロフ) - ページ31で、」が1つ多い所があります。 (2018年5月26日 6時) (
レス) id: 288d462176 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - 不知火さん» I'm really glad to see your heartful message!! 核心をついたコメント、とても嬉しいです。ニヤついて頂けて本望ですので、電車だろうがどこだろうが、笑ってください。ヒソカの気持ち悪さを愛する作者の気持ち悪さ(？)が少しでも伝わったなら、幸い。 (2018年4月7日 15時) (レス) id: a6c8ba769b (このIDを非表示/違反報告)
不知火 - ヒソカいい性格してますよねwニヤニヤしながら見てますw (2018年4月7日 7時) (レス) id: 01371eb627 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます！笑って頂けて、とても嬉しいです。ヒソカのズキューンは、もはや彼のアイデンティティだと思っています。 (2018年3月16日 14時) (レス) id: ff4e3584c3 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - 土方紅葉さん» いつもありがとうございます。ニヤニヤして頂けているだけで、私、昇天します。ヒソカたまらないです。 (2018年3月16日 14時) (レス) id: ff4e3584c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
