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叔父のジンは、十才のときにくじら島を飛び出して、ハンター試験を受けた。それっきり消息が途絶えていたが、その十年後、つまり今から十年前にふらりとここへ戻ってきたのだ。
乳飲み子を抱いて。彼は、その子供の母親について何も語らなかった。語ろうとしなかった。
私はただ、「弟ができた」と無邪気に喜んだものだ。
「私は、挑戦を止めちゃいけないんだ。母さんがどうしても引き留めるっていうなら、泳いででもこの島を出て行く」
泣き出しそうな母の瞳を正面から静かに見返した。母は、棚の上に置かれた写真立てを手に取った。
指で埃を払うと、若い男がバイクの前にしゃがんで不敵に笑っているのがはっきりわかる。
「どうしても、行くのね」
私が鷹揚に頷くと、母は諦めたようにため息をついた。
「血は、争えないわね。貴方も、ゴンも…」
時計は十一時近くを指しており、祖母もゴンも寝静まっていた頃だった。写真立てを元に戻すと、母は私の両頬に手のひらを合わせた。
「…待たされる身は、辛いのよ」
「…うん」
うわべだけの根拠のない「大丈夫だから」と言うのは、母の勇気に対して失礼だろうと思い、私は心の中で感謝した。
「…もう寝なさい。今日は、遅いわ」
「おやすみなさい、母さん」
「おやすみ、A」
屋根裏にある小さな個室には、本が数冊と、机、ベッドがある。それだけでいっぱいになってしまう部屋には、南側に窓が一つ、ついていた。
晴れた夜空には雲が少なく、沢山の星がきらめいている。時折、流星が星の海原を渡って行って、今日は獅子座の流星群か、などとぼんやり考えていた。
ゴンより一足先に島を出た私は、喫茶で午後のお茶を楽しみながら、新聞を読むフリをして試験会場を探すため、手がかりを集めていた。
実際は、新聞記事に夢中で、飲んでいた紅茶の味などわからなかった。
トントンと誰かに肩を叩かれて振り返ると、開いた口が塞がらないとはまさにこういうこと。
「やあ、一年ぶり♧お口が、おのぼりさんになってるよ♢」
去年の試験で、私を間接的に落第させた張本人。試験官に戦いを挑んだバカの中のバカ。
「覚えているかい、ボクだよ、ヒソカだよ♢去年、キミの名前を聞くのを忘れちゃったからね♤」
「どうやって私を見つけたの？」
「愛の力♡」
胡散臭すぎる言葉は、無視した。
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†NANA†(プロフ) - ページ31で、」が1つ多い所があります。 (2018年5月26日 6時) (
レス) id: 288d462176 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - 不知火さん» I'm really glad to see your heartful message!! 核心をついたコメント、とても嬉しいです。ニヤついて頂けて本望ですので、電車だろうがどこだろうが、笑ってください。ヒソカの気持ち悪さを愛する作者の気持ち悪さ(？)が少しでも伝わったなら、幸い。 (2018年4月7日 15時) (レス) id: a6c8ba769b (このIDを非表示/違反報告)
不知火 - ヒソカいい性格してますよねwニヤニヤしながら見てますw (2018年4月7日 7時) (レス) id: 01371eb627 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - 仙花さん» コメントありがとうございます！笑って頂けて、とても嬉しいです。ヒソカのズキューンは、もはや彼のアイデンティティだと思っています。 (2018年3月16日 14時) (レス) id: ff4e3584c3 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - 土方紅葉さん» いつもありがとうございます。ニヤニヤして頂けているだけで、私、昇天します。ヒソカたまらないです。 (2018年3月16日 14時) (レス) id: ff4e3584c3 (このIDを非表示/違反報告)
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