残酷なほどに美しい愛を３《M.Jun》 (ページ27)

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『お母さんは！？』

潤さんからのメールの後にきた電話は、私が子どもの頃からお世話になっている家政婦のタエコさんから。

お母さんが病院に運ばれたって言われて急いで実家に帰って来た。

「自宅の階段で転んでしまったみたいで。お医者様からは念のため１日入院するように言われましたが、大丈夫ですよ」

『そう、よかった』

その言葉にほっと胸を撫で下ろすと

「A様」

と名前を呼ばれた。

「こちらにお着替えください」

鮮やかな赤のパーティードレス。
もちろんウチのブランドのもの。

今日はこれからお母さんの代わりに、ウチの会社の創立70周年記念パーティーに出席する事になっている。

『一人娘なんだから、お母さんの代わりとかじゃなくて最初から呼んでくれればよかったのに』

「旦那様は怖いんですよ。またA様が誰かに連れ出されてしまうんじゃないかと」

私がまだ子どもの頃。
お父さんの知り合いのパーティーに出席したとき、見知らぬ人に声をかけられそのまま連れ出されたことがあった。

『大丈夫よ。もう子どもじゃないんだから！』

「たしかにもう子どもではありませんね。ですが、A様はもっと自分がお美しいと自覚を持たれた方が良いかと。
もうすぐお時間です。急いでお着替えください」

パーティードレスをぎゅっと抱きしめて着替えるために部屋を出た。

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