EP１０ ページ12
『いて…っ』
角を曲がった瞬間に、足に痛みが走った。変な方向に痛めたのか、足首を曲げた時に軽く痛みが走る。
「せや、怪我しとるから保健室向かうところやったんやわ。歩けるか？」
歩くのにはあまり支障がないので、歩けますと答え、生徒会室から行先変更、保健室へに行くことにした。誰もいなければ良いのだが。こんなところを目撃されてはまた噂が出る。
『ぺ神先生…？
「Aちゃん、とコネシマ君だっけ。どうしたの？」
どうしたの、と言われて黙ってしまう。どう答えるべきかわからない。過剰な心配はさせたくないが、多分殴られた痣を見られたら最後、理由を言うまで解放されない。
「こいつ、殴られてたんです。」
『ちょ、…コネシマ先輩…！』
今必死で筋の通る言い訳を考えていたというのに、彼は端的に事実を伝えた。事実を伝えた彼を責めるべきではないのだろうが、こんなにストレートに言わなくても良かったのではないか。だってペ神先生滅茶苦茶怒ってますし。これ絶対言わない方が良かったやつ。
「…何組の誰さんに？」
『言えません』
私には彼女を告発しようという意思がない。彼女の理論は一応筋が通っているもので、確かに実力行使に出たのは良くないことだが、それ以外は至極真っ当な主張だった。それに、彼女が怒ったのは紛れもなく私のせいだと思うから。
ペ神先生は、そっか、と言って何も言わずに治療をしてくれた。余計に詮索しないのは、嬉しかった。
お礼を言って保健室から出た。足首もテーピングのお陰で大分楽になった。
そして今、生徒会室で鬱さんと二人きりである。コネシマ先輩は、生徒会室まで一緒に来たのに「じゃあな。」なんて言って帰ってしまった。
鬱さんはスマホいじってるし、距離を縮めるなんてどうすれば良いんだろう。コネシマさんは、鬱くんって呼んでみろと言ってたけど、いきなり君付けなんて難しいにも程がある！
というわけで、先輩と呼んでみよう。
『あの…鬱先輩…、』
「…今鬱先輩って言うた？」
彼はスマホから顔を上げて私の方に向き直った。やはり、いきなり先輩呼びなんて図々しいだろう。
『す、すいません…その、嫌でしたよね…』
「嫌やないで。少し驚いただけやねん。俺、佐々木さんのこと取っ付き難い人やと思ってたから声掛けてくれるなんて思わんかった。」
嫌じゃない。そう言われて、心が救われた気がした。話しかけても良い、先輩って呼んでも良い、そう言われている気がして、嬉しくなった。
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鈴華(プロフ) - 電球ソーダさん» ありがとうございます！！！そう言ってくださると力になります…！！ (2021年7月8日 18時) (
レス) id: a228d6db47 (このIDを非表示/違反報告)
電球ソーダ(プロフ) - いいお話ですね！とっても自分好みです！ (2021年7月8日 18時) (レス) id: 9b3bfa43e1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴華(プロフ) - [ ]さん» ありがとうございます！！移行前の方のコメントもありがとうございます！返信できなくてすみません！頑張ります！！ (2021年6月28日 7時) (レス) id: a228d6db47 (このIDを非表示/違反報告)
[ ] - 鈴華さん» 最高です！これからも更新頑張ってください！ (2021年6月27日 23時) (レス) id: 0e1dc47b5f (このIDを非表示/違反報告)
鈴華(プロフ) - おたろさん» 素晴らしく好きですか！？！？元々ある奴を移行してきた奴なので、めちゃ長く続きます… (2021年6月27日 16時) (レス) id: a228d6db47 (このIDを非表示/違反報告)
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