【d！】【短編集】恋愛カルテ (ページ9)

今日:12 hit、昨日:32 hit、合計:76,916 hit

不人気と人気者～sha～ページ9

「Aちゃん今日も可愛いなぁ…。なんでお前と付き合っとんのやろ。なぁ、シャオちゃん？」

教室で飯食ってる途中、隣にいる大先生が俺を見て首を傾げた。その話題は、俺の幼馴染兼彼女であり、学年で1番可愛いと評判の、A。同じクラスで、いつも通り花を咲かす様にぱっ、と笑うAに惹かれない奴が、この世界のどこにいるものか。

「俺が魅力的だからに決まっとるやん。」

にや、と勝ち誇った様に笑うと、隣に座った大先生に煽る様に中指を立てる。学校一の色男、大先生もAを落とすことに必死で、ほんま、なんであんなに可愛えんやろ、俺の彼女。小説とかにいる様な、鈍感極めてる訳ではなくて、人の気持ちに敏感過ぎて、逆に気を使うせいで、人から好かれやすい。その疲労困憊、っていうAを慰めるのが俺の仕事。甘えるAとか、皆見たことないやろなぁ…。

「嘘つけ、なんかやったんやろ？なーなー、Aちゃん？なんでシャオちゃんと付き合っとるん？」

「ばっ、いろんな奴に聞こえるやろ！？」

俺の言葉を一切信じない大先生が、教室の反対側で笑うAにどでかい声を掛ける。慌てて口を押さえるも、時すでに遅し。教室中、いや、廊下にいる奴らまで、なんだなんだと顔を覗かせる。

「えぇ？う、鬱くん、きゅ、急に何？」

普段見せない、焦った様な戸惑った様な表情でこっちを振り返るA。俺と大先生に視線を向けていた奴らが、Aのそんな表情に、一瞬うっとりとしたのが分かった。くそ、テメェ等、Aは俺のモンだからな？

「ほら、こいつって、不人気とか言われとるやん？なのに、なんでAちゃんみたいな美人さんが付き合っとんのかな、って思って。」