【d！】【短編集】恋愛カルテ (ページ44)

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「俺、鬼ばっか嫌なんで。…勝ちたかったし。かっ、彼女に負けるなんて格好悪いし…。」

どうしよう、チーノが我儘言ってる…と、戸惑いながら説得しようとした私に届いた、チーノの一言。ボソボソと、何かに恥じるように呟かれたそれに、私を含んだ一同が、は？と聞き返す。今日二度目の聞き返しだね、うん。…そうやって現実逃避しないといけないくらい、私は驚いていて。

「えっ、私に負けたのが嫌だったの？」

「…。」

思わず聞き返してしまう。その無言が、質問への答えで、ふは、と間抜けな笑い声が漏れた。いや、仕方ないよね。だって、一緒にゲームしてる限り、チーノが勝ち続けることなんて無いし、逆に私が勝ち続けることも無い。それを気にするチーノも、可愛いんだけどね。

「とりあえず！俺撮影抜けます！んで、今からAさんの家行くんで、あの…ぎ、ぎゅって…して、ください…。」

「…はぁ？」

絶句。いや、絶句どころじゃなくて、声に出ちゃってるけど。あまりにも可愛くて、我儘で。チーノらしいような気もするけど…。

「じゃ、そゆことで！」

瞬間、ディスコを抜けたチーノが、10分くらい後に、撮影中の私の家に凸してきたのは、また機会があったらお話しします。