【d！】【短編集】恋愛カルテ (ページ30)

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大丈夫ですか、体調に変化はないですか、そう言った私に、あなたは一瞬微笑んで、次の瞬間に意識を失った。私が慌てたのは言うまでもない。それからあなたは数時間眠りこみ、私はその間あなたのそばを1時も離れなかった。

「…エミさん?」

ずいぶんと長い間あなたを見ていたからか、どうやら寝てしまった私に、そう声をかけられたのに、私はどこか、懐かしさを感じた。まだ眠気の冷めない目をこすりながら、あなたを見ると、あなたは前のようにそう昔のように微笑んでいた。あー、記憶が戻ったんだな…そう自然と感じた私は、人目もはばからずあなたに抱きついた。

「え、エミさん!?」

びっくりした様子のあなたは、けれども私お引き吐かそうとせず、そのまま泣き出してしまった私のせよゆっくりゆっくり撫でてくれた。

あなたが眠っている間、あなたの記憶がない間、私がどれだけ不安だったことだろうか。ただの仕事仲間であるとそう思っていたはずなのに、ここまで心に穴が開いたように感じるのは初めてで、きっと、幹部の中でも1番あなたを心配していたと思う。そんな自分に、私は1つ気づいて、あなたの記憶が戻ったら、まず先に伝えようと思っていた。

私は一通り泣き終えると、まだびっくりした顔のまま、私を見つめるあなたににっこりと笑いかけた。

「好きです、Aさん。まだ目が覚めたばっかりで、意識もおぼろげかもしれませんが、どうか私と付き合ってくれませんか。」

私の声はまだ震えていたが、伝えるべきことを伝えられるように、何度も何度もシュミレーションしたからか、変に恥ずかしがらず、伝えられたと思う。

私の言葉に、あなたはそっと微笑んでー…。