ちょこれいと〜em〜 ページ29
知っていますか、?この世界には、どんな病気でも直してしまう、魔法の薬があることを。
隣の国のそのまた隣の、もっとずっと遠いところにある国に、カカオと言う豆が取れる国があります。カカオと言う豆を使うと、その薬が作れるそうです。とても甘くて、なおかつその効果はとても偉大なものと聞きます。その薬があれば、あなたの病気も治るんでしょうか。
「Aさん、具合はどうですか?」
「あ、エーミール様…いや、エミさん。大丈夫ですよ、今日は体調が優れている方です。」
そう言って微笑んだあなたは、昔とは少し違った雰囲気をまとっていて、とてもはがなく…すぐに壊れてしまいそうだ。
この間の戦争で、私を守るために私ととも戦線に出たAさんは、その戦争による怪我で、数ヶ月昏倒していた。目を覚ました彼女は、これまでの記憶を一切失っていて、私のことを見てもただニコニコと微笑むだけだった。幹部としての仕事はおろか、普通の人としての生活もままならないあなたに、心配にならないはずがない。私は、しんぺいさんに頼んで、あなたの症状が良くなる、いや、記憶が全て戻るような方法を探してもらった。
そこで見つけたのがその魔法の薬、チョコレート。どうやら、1部の地域ではお菓子としても食べられているようで、その地域では流通しているらしい。ただ、その魔法の薬を手に入れるには、長旅が必要だった。そこに、あなたを置いて私が行けるはずもなく、私は、同じく幹部であるゾムさんとコネシマさんにその薬を取りに行ってもらった。
それが、数ヶ月前の話。あなたが記憶をなくしてから、1年半が過ぎた今日。お二人が帰ってきて、その魔法の薬を私に渡してくれた。
記憶をなくしてからも、私とずっと一緒にいたおかげなのか、私に対しての警戒心は薄いようで、これが薬ですと渡した私に、あなたは躊躇じゃなくそれを食べた。食べてまず、そのおいしさに宝を緩ませて、あなたは何も変化なく、それを飲み込んだ。
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