【d！】【短編集】恋愛カルテ (ページ15)

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ロミオとジュリエットページ15

「あぁA、貴方はどうしてAなの？」

「そう名付けられて生まれたからそうなるやろ。てか、それ女側の台詞やからな？」

学校祭の準備中、私Aと、一応彼氏の鬱先生は、体育館での劇の準備のため、2人きりで残っていた。まあ、残って仕事するくらい生徒会で幾らでもあるからいいんやけどね、真面目にやれよ、鬱…。

「このドレス、Aちゃんに似合いそうやなぁ…。せや、グルちゃんに取り寄せてもらわん！？」

舞台裏に置いて置く用の紺色のドレスを手にし、ニコニコと笑う鬱。他にも、いろんなドレスを手に取り、これはあーだあれはこーだだなんて言って、全然仕事しない。

ロミオとジュリエットを演じるそうで、シッマがロミオをやるらしい。やるらしい、っていうのも、私と鬱は、クラスで唯一のカップルだからと主役をやらされそうだったから、話し合いはサボった。演劇の主役は我々だ？ハッ、誰がやるか、バーカ。んでもって、シッマザマァっていうね。

まあ、そのせいの裏方おしつけなんですけどね。

「うっ、く…届かない…。」

ステージの、向かって右側、ジュリエットが舞踏会の後に着替えるところに置く、水色の
ドレスを、棚の上に置こうとする、も、身長が小さ…棚が高くて届かない。でも、床に置くわけにはいかない。

「おん？どうしたん？…あぁ、貸してみ？」

ステージの下で衣装を漁っていた鬱が、様子のおかしい私に気づき、ステージの上に上がってくる。そして、一目で状況把握したのか、私の後ろに立つと私の手から衣装を取りそのまま私をまたいでひょいと上に乗せてしまった。はー、これだから身長高いやつは…ありがたいんだけどね。