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「俺は他の村に行くけど、着いてくるか？」
「…私がなんで一緒にいるか知ってるでしょ。」
「…おお、けど…。」
しぶるシッマに、少しイラつく。他の村？興味ない。いや、それは違うけど、もっと、もっと…もっと…ね？やってほしいことがあるから…。
「お前が狂人でちょっと嬉しかったんやけど、こうなるとはな…。」
「さっ、はやくはやく、ね、やってやって？しっまがこれまでやってきたこと、わたしにして？」
いつまでも渋るシッマ。知ってるよ、人狼としての本能が開花する前から、私を好きで居てくれたこと。だから、シッマに協力することにしたんだもん。私もシッマ好きだから。
「ね、ね、お願い。早く…コロシテ？」
「ああ。」
両手を広げてシッマの前に立った私は、とても複雑そうな顔をした島ににこっと笑いかける。人狼として私を喰い食い殺す事は彼の野望。きっとそうだと思っていたのになぜそんな表情するの?
シッマがその際私の方に突き立てた。ずぶずぶと入っていく感覚がする。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…気持ちいい。ああ、みんなはこの感覚を味わっていたんだな、それはあんな表情するよね、私もあんな風にきれいになれてるかな。
Aを喰い殺して、数ヶ月が経った。他の村に行けば、他の人狼にも会うことができて、前よりずっと人を食い殺すことが簡単にできるようになった。
俺には心がない、そう思って生きてきた。そのはずなのに、Aを食い殺してから胸にぽっかりと穴が開いたようだ。最後のあの幸せそうな顔が唯一の救いだ。Aが狂人だったのは嬉しいことだ。だったはずなのに、人が死ぬところが見たい、そして最後に殺して欲しい。そんなもの望んでいたわけではなかった。
「シッマ、あの女、やわこそうで旨そうじゃない？」
「…そうやな。」
どんな人間にも、心躍ることはない。綺麗な女やな、とか思うことがあっても、それだけだ。
俺はAを喰った時ほど満たされることはない。また、俺はあれ以上の、極上の餌に会うことはないだろう。
どうか、あの時感じた、胸の痛みが消えてくれる様…それだけを祈って、また新たに人を喰い殺した。
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