→NEXT ページ45
「じゃあ今日は友達とのお出かけってことで？」
「そんなとこかな。」
―――ふーん。
少し時間をおいて、納得したような彼。差し出してきていた手をするりと戻し、何もなかったかのように歩き出す。今日行くところは、なんて穴し始めた彼の後ろを慌てて追いかける。人ごみの中で彼はずんずん進んでいって、私は追いかけるのでやっと。私は女性側としは大柄な方で、こういう時はリードする側なのに。彼には、追いつこうとするのがやっと。
「ちょ、と、ゆっくり歩けない？」
彼との距離が遠のいて、間に人が入ってしまう。このままではどんどん離れて迷子になると、彼にスピードを緩めるように頼む。けれど、街中の喧騒に紛れて聞こえないようで、ゆっくり歩く様子も、振り返る様子すらない。
「待ってって、ゆっくり！」
さっきよりも大きな声で声をかけたのに、彼は振り向かない。その間にも、人の波は押し寄せてきて。迷ったら迷っただけど、わざわざ一緒に外出しているのに、それはあまりに寂しすぎないだろうか。
「ね、ショッピくん！」
「そーんな大きい声で俺呼んで、どうしたんすか？」
「わっ！」
人ごみに隠れて見えない彼に届くだけの声量で、彼を呼んだはずだった。もう人の奥にいて、もしｋしたら聞こえないかもなんて思ってた私の耳元で、いたずら好きな声が笑う。ぱっと横を見れば、いつの間にか現れた彼。深い紫の瞳が、嬉しそうに楽しそうに笑った。
「やっと俺の名前、呼んでくれましたね、先輩。やっぱり危ないので手、繋ぎましょっか！」
人の波に呑まれながら、ショッピくんはするりと自然に手をつなぐ。抵抗する暇もなく恋人繋ぎまで完成させた彼は、どこまで予測したうえで行動しているのだろう。
「さ、デート、行きましょっか、Aさん？」
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←可愛くない後輩〜syp~
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 271人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴華(プロフ) - 目玉焼きさん» ありがとうございます〜！好きって言ってもらえるとやっぱりモチベ上がるので嬉しいです！更新は亀ですがお付き合いください…！ (2022年4月1日 15時) (
レス) id: a228d6db47 (このIDを非表示/違反報告)
目玉焼き - コメント失礼します遅れましたが続編おめでとうございますこの短編集すごく好きでしてこれからも頑張ってください応援しております (2022年3月27日 18時) (レス) id: 81c89ca802 (このIDを非表示/違反報告)
一月鈴華(プロフ) - モカブラウンさん» ありがとうございます！！今後も頑張っていくのでよろしくお願いいします。 (2021年2月20日 15時) (レス) id: f7d3b28b6f (このIDを非表示/違反報告)
モカブラウン(プロフ) - 続編おめでとうございます！ これからも更新頑張ってください！！！応援してます！ (2021年2月20日 14時) (レス) id: e467f9631d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
