崩壊17歳 ページ21
見開かれる芳の瞳。
これ以上ないくらい、絶望を味わってる表情。
本来ならここで宥めるのが私という生き物だった。
貴「私は…芳の身代わり。ずっとそれだけの存在だった。
でも…山崎さんは違った。
私達の事を知らないからかもしれないけど…芳とも他の人とも別だった。
他の人とは違う形で私を見てくれた」
ただ…
私が私と言う個体である事を認めてくれた。
それだけ。それだけなのに…
山崎さんや周りからしたら他愛ない事でも全て、私が私でいて良い事を許されたような気がした。
「この人は芳を知らないんだ」
「この人はAしか知らないんだ」
「私を見てるんだ」
そう思えることがどれほど心地いいか、目の前の貴方には分からないでしょう。
芳は…どんな気分だった?
今まで私が芳であったように今回
結局 保身とは言え芳がAを演じていた事を…
Aの名で彼の恋人を演じていた事を…
最初から芳の身の安全の為、自分の名前を使わせる事を強要したのは私だったし
所詮、入れ替わり程度だったとは思うけど。
.
名前を借りて、
別人に成りすまして、
ヒトの形を真似て、ただ呼吸を繰り返して、心臓を動かして血を巡らせて、
まるで操り人形のように生きてる事の意味が少しでも分かってくれたなら・・・
気付いてくれたのなら・・・
わたし…
芳「やめて…っ」
やっと聞こえたのは嘆きの声。
私の腕を掴んでた手はとっくに離されてた。
今までの話を珍しく黙って聞いてたはずの芳は今、顔を両手で隠しその場で佇んでる。
指の隙間から見える青い瞳はグラグラと激しく揺れていた。
こんな私をこれ以上見たくない。
そう訴えながら。
それを見た私自身も
これ以上の会話は不可能だと、自分の脳が強制的に判断を下す。
貴「ごめん…私、行かなきゃ…」
私が言えたのはそれだけ。
それだけの言葉を言い残すと、ほぼ逃げるようにその場から立ち去った。
背後から呼ぶ声が聞こえた気がするけど…歩みが止まることはなかった。
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沙月(プロフ) - 友達としてのところはマジで笑いました...二回くらい読み直したかも。そして、最後見たときの僕の突っ込み。『ちぇ。恋愛じゃねーのかよ。(途中までいい感じたったのによぉ?そしてザキ、怖いよ?ん?)』という情緒不安定でした。 (2019年4月10日 1時) (レス) id: b7d8d46a43 (このIDを非表示/違反報告)
綺羅(プロフ) - 雪さん» そうですね。幸せになってほしいです。コメントありがとうございます。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: e5295f2ff6 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 山崎どうか幸せになってください (2019年1月3日 12時) (レス) id: 55babfbb1a (このIDを非表示/違反報告)
ハーレクイン(プロフ) - 作者様の作品よく読ませてもらってます!坂本さん最推しなので嬉しいです!最近山崎も好きなのでなんかもう楽しかったです!これからも頑張って下さい!山崎&坂本さんの作品沢山作ってくださいね!(図々しい) (2018年9月6日 23時) (レス) id: b56fa1b191 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - いい話ですねー(*`・ω・)ゞ (2018年8月20日 19時) (レス) id: 253e047399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺羅 | 作成日時:2017年1月13日 20時