3話 ページ3
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「ほんと、キモ。」
ライターの火で燃やされた手紙は、灰へと変わっていった。
手紙にはいつも同じ人が写っている写真が貼り付けてあって、
ぎっちりと嫌になるほどの愛の言葉が綴られている。
《おはよう。君がこの手紙を読んでいる頃は、きっと朝だろうね。僕のこの手紙で君の1日が始まるって毎日考えてると、堪らなく幸せなんだ。昨日は体調が悪かったらしいね、大丈夫?君に何かあるって考えると、自分の事以上に不安なんだよ。何かあったら、すぐに言ってね。今日も君の事を見守っています。愛してるよ。》
綺麗な字で、綴られた狂気的な文章。
この分からして、本人に近付く気はどうやら無いみたいだ。
それにしても気持ち悪い。
毎日毎日、飽きずにこんなものを書いている人の気がしれる。
この手紙を破棄する面倒は俺に回ってくるんだ。
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「ただいま〜、何やってるのテヒョナ。」
「あ、おかえりA。隣の叔母さんからケーキ貰ったよ。」
「え、食べる。じゃあお茶淹れよーよ。」
「もうすぐ、Aが帰ってくる時間だったから、淹れといたよ。」
「さすが、テヒョナ〜。こまうぉ。」
双子の妹のA。
二卵性で、全く似ていない俺ら。
勉強はあまり出来ないAに比べて、昔から勉強をしなくても模試は常に上の方だった。
高校も離れた。
つまり、双子だということは、あまり周りには知られていない。
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だったら、別に良いんじゃないかって__
「ねぇ、なんか焦げ臭くない?」
「そう?わかんないけど。」
手に持った灰を、ギリギリと握り締めた。
(別に、良いんじゃないかって)
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俺達は常識に捕らわれちゃ駄目
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( 実の妹を愛していても____ )
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作者名:しむきん | 作成日時:2017年1月6日 17時